電動化車両の車外静粛性は見直すべきだが車内静粛性は問題ない
最近は高級車、高額車を中心に静粛性の高いクルマが増えていることもあり、「あまりにも静粛性の高いクルマは危険なのではないか?」という声を聞くこともある。
このテーマは”ケースバイケース”というのが結論なのではないかと思う。というのもクルマの静粛性はザックリ考えると”車内の静粛性(車内騒音)”と”車外に対する静粛性(車外騒音)”に分けられるからだ。
まず”車内の静粛性”に関しては、高いクルマは安全と言えると思う。そう考える理由としては
●静粛性が高ければ、静粛性が低いクルマでは気づかないトラブルの兆候を知らせるわずかな異音に気づける可能性が増えるため、そんな時に早く対応できる可能性も高まる
●静粛性の高さは疲労軽減にもつながるため、疲労による居眠り運転などによる事故を防げる可能性が高まる
といったことが挙げられる。
「逆にあまりに静かなのも退屈だったり緊張感がなかったりで、かえって居眠り運転につながる」という意見もあるかもしれないが、筆者自身はそういった経験はあまりない。このあたりはオーディオで音楽やラジオを聴く、同乗者がいれば会話をする(話の弾まない相手だと1人よりずっと辛いというケースもあるが)、あまり深くない考え事などをして適度な集中を保てば、静粛性の高さを生かした快適なドライブを楽しめるだろう。
“車外に対する静粛性”が高いクルマ、簡単に言ってしまえば市街地や住宅地のような細い道での電気自動車、ハイブリッドカーのEV走行中は当然の話ながらほぼ無音のため、歩行者や自転車が自車に気づいてくれず、急な横断などにつながり危険という面は確かにある。
そういった事故や問題を防ぐため、電気自動車やハイブリッドカーには極低速(20km/h程度まで)で音を出す機構が備わっているクルマは多く、その音も静かなところなら歩行者や自転車に聞こえるのだが、繁華街や幹線道路が近い住宅地といったもともとの音があるところだと、その機構が役に立たないというケースはあり、危険といえる。
この問題に関しては音に加えて、エンジン車の振動のようなものも歩行者に伝えるなどの何らかの対応も加えて、威圧するような意味でなく自車の存在を伝える手段を考えてほしいところだ。