走りは文句なしの魅力的なクルマ
2018年2月度の新車販売台数ランキングトップは22,007台もの台数を販売したホンダ・N-BOXだった。このように月に1万台~2万台販売される車種がある一方で、なかなか販売台数が増えない車種があるのもまた事実。しかし、そのクルマがほかのクルマに比べて大きく劣っているかと言われれば、決してそんなことはないのだ。そこで今回は販売台数ランキング上位には入らないものの、秘めたる実力を持っている現行車をピックアップしたい。
1)スズキ・SX4 S-CROSS
クロスオーバーSUVが大人気となっている現在において、残念ながらその波に乗り切れていない感の強いのがスズキのSX4 S-CROSSだろう。スズキには、軽のハスラーや昨年末に登場したばかりのクロスビーなど、同様のコンセプトの車両が多く存在することも印象を薄くしてしまっている一因かもしれない。
ご存じの方も多いかも知れないが、このSX4 S-CROSSはハンガリーにあるマジャールスズキの工場で生産され、欧州地域を中心に販売される世界戦略車であり、海外では一定の評価を受けている車両なのだ。そのため、ホイールも日本では一般的なナットではなく、欧州車に多いボルトで車両に装着されているなど、欧州車好きであれば食指が動く点も多い。もちろん乗り味も欧州車風の味付けとなっている。後期型はCVTから6速ATとなり、よりダイレクト感のある走りが楽しめるようになったのもポイントだ。
2)三菱・ミラージュ
ミラージュと聞くと昔からのファンにとっては「サイボーグ」などのホットモデルのイメージが強く、現在のベーシックカーとしてのキャラクターは物足りないかもしれない。しかし、そもそもミラージュは三菱の普通車のボトムラインを担う車種であり、これまでも最量販グレードはベーシックグレードであったのだ。
6代目となる現行は先ほどのSX4 S-CROSSと同じく海外生産の輸入車扱いで、タイで生産されるもの。といってももはやクオリティ的には国産と大差なく(トヨタ・ハイラックスもタイ生産)、コスト的なメリットのほうが大きいと言える。そのため、ライバル車と大差ない価格にもかかわらず、HIDヘッドライト、本革巻ステアリング、アルミホイール、リヤヒーターダクト、内装ピアノブラック加飾などの装備が充実(Gグレード)。また、900kgという軽量ボディで意外にキビキビとよく走ってくれるのだ。
3)日産・フェアレディZ
日産のイメージリーダーと言えるGT-Rと双璧をなす車種がこのフェアレディZ。海外で「日本車=安くて高性能」というイメージを植え付けることに成功した1969年デビューの初代モデルから間もなく50周年を迎えるが、残念ながら日本国内での売れ行きは芳しくない。
メイン市場である北米を強く意識し、大排気量でワイドボディというパッケージングにその一因もあると言われているが、そもそも日本でのスポーツカー市場が冷え込んでいることも無関係ではないだろう。しかし、ベーシックなグレードは400万を切る価格であり、それで247kW(336馬力)を発生させるVQ37VHRエンジンを6速マニュアルで操る楽しさを味わえると考えれば、決して高くない買い物ではないだろうか?