時間帯別料金制の導入を合わせて行えば効果は期待できる
2020年東京オリンピックまでの完成を目指して、首都圏3環状の建設が着々と進んでいる。3環状一番内側の首都高C2はすでに全線が完成しているが、ボトルネックだった小菅-堀切間内回りの拡幅がこの2月25日に完成し、板橋-熊野町間両方向の拡幅も3月18日に開通予定。これでC2は文字通りの”完成形”となる。
外環道千葉区間も、今年6月に開通予定。圏央道もすでに約9割の区間が開通している。
残る大物その1は「外環道東京区間」だが、これは2020年には到底間に合わず、数年遅れになると予想している。大物その2の「圏央道藤沢―釜利谷間」も、おそらく数年遅れるだろう。それでも2024年前後には、首都圏3環状の完成という、私の大願が成就する。その時首都高は、日常の渋滞がゼロになるのか?
現在首都高の渋滞量は、ピーク時(バブル末期)に比べると5分の1程度に激減しており、今後さらに減少が予想されるが、さすがに渋滞ゼロは不可能である。なにせ渋滞のない巨大都市など世界中に存在しない。渋滞が減って走りやすくなれば、新たな交通が生まれるのが常だからだ。
また、3環状が完成すると、今度は首都高の造り直しが本格化する。造り直し期間中は、片側1車線の対面通行になるのが基本なので、そこが大きなボトルネックとなる。首都高の造り直しは、現在5区間(合計8km)で決定済みだが、それで完了ということはありえない。終わりのない戦いだ。
「それでも日本は人口が減少するのだから、いずれ渋滞はゼロになるのでは?」という意見もあろうが、日本の人口は減っても、東京の人口はなかなか減らないだろう。
実際、東京都の人口は2000年頃から増加に転じている。ピークは2025年と予想されているが、その後も東京への一極集中は進むだろうから、大きく減少することは考えられない。
逆に、今後景気回復が順調に進むと、交通量が増加して渋滞が悪化することもあり得る。ただ、ドライバー不足という「壁」があるため、大幅な悪化もあまり考えられない。実は、首都高の渋滞を一部ゼロにする方法はある。それは、流入交通に課金する「ロードプライシング」だ。
3環状という迂回路が完全に完成すれば、たとえば「C2より内側への流入には500円を課金」といった政策も実行可能。これで首都高の都心部から渋滞を消すことは不可能ではない。
ただ、都心部が空く分、郊外部は渋滞が悪化する。ロードプライシングのない現在も、すでにその傾向は現れていて、C1よりC2の方が渋滞が激しく、迂回するとかえって時間がかかるケースは多い。
首都圏の交通は、C1を含めた4環状で分担するのがもっとも効率がいいので、あえてC2の内側の流入制限をする意味はない。唯一必要になるとすれば、C1の造り直し工事期間中だろうか?
それより効果的なのは、時間帯別料金制の導入だ。渋滞がピークとなる夕方(17時~19時あたり)の料金を高くして、その前後を安くするといったピーク分散政策は、それなりの効果を上げるだろう。