年度末に集中しがちだがあわてて工事をしているわけではない
年度末になると道路工事が目立つように感じるドライバーは少なくないだろう。「年度末に道路工事が増えるのは予算を消化するためだ!」といって批判されることも多い。たしかに年度末に舗装をやり直すような工事は目立つし集中する傾向にあるが、だからといって慌てて予算を消化しているわけでもない。
まず、そもそもの話として道路工事というのは舗装をやり直すだけではなく、その下に埋まっているさまざまなインフラの整備という面がある。そして、そうした工事は年度単位で動いていることが、ほとんどだ。つまり、4月に工事区間が正式決定され、年度末の3月までに完了するようにプロジェクトが動き出す。年度単位で動くということの是非はともかく、もともと3月に工事の仕上げが集中するスケジュールとなっている。けっして余った予算を消化しているからというわけではない。もちろん、豪雪地域など年度末に仕上げるのが非現実的なエリアにおいては雪を避けるスケジュールで動いていることだろう。
具体的には、工事区間が決定した後に計画が練られ、水道管やガス管といった地下埋設物の整備が行われ(そのたびに仮舗装される)、最後に舗装をし直して終了という流れになる。最初に舗装をやり直すというのはあり得ない選択なのだ。逆に地下埋設物の整備がなく、舗装だけをやり直すようなケースであれば、早めに実施することもできる。幹線道路などの舗装工事は季節に関係なく行われている。
工事の発注が年度単位で動いている限り、そのフィニッシュが年度末に集中するのは避けられない。それは前述のように埋設物の整備まで含めて、効率よく行うための知恵でもある。