貴重な初代デリカをじっくり見る機会! 最新エクリプスクロスも展示した三菱ブースに注目【大阪オートメッセ2018】

トークショーでは開発中の6代目デリカの話題も……

 2月10日よりインテックス大阪で開催中の「大阪オートメッセ2018」。6Aホール左奥のCARトップ合同ブースには三菱自動車が共同出展し、3月に国内発売予定のコンパクトSUV「エクリプス クロス」に「デリカD:5アクティブギア」、そして1973年式初代「デリカバン」を披露した! 今回の企画は、雑誌CARトップが50周年、デリカも初代が誕生してから50周年ということで実現したものだ。


「Delivery Car」(モノを運ぶ車)にちなんで「DELICA」と名付けられた初代デリカは1968年(昭和43年)、トラック仕様からデビュー。翌69年に1BOXタイプの「ライトバン」、「ルートバン」、「コーチ」(乗用9人乗り)が追加されており、これが現在の「デリカD:5」のルーツといえるだろう。

 CARトップ合同ブースに出品された初代デリカバンは1974年式の、4G41型“ネプチューン86”1.4リッターOHVガソリンエンジン搭載モデル。全長×全幅×全高=3860×1540×1795mmという小柄なボディに、当時クラス最高の居住空間と積載能力を兼ね備え、79年に9人乗りワゴン「スターワゴン」を擁する2代目へフルモデルチェンジするまで、小型商用バン・トラックのベンチマークであり続けた。その後乗用タイプは86年に3代目、94年に4代目「スペースギア」へとスイッチし、現行5代目「D:5」は2007年にデビューしている。


その最新モデルかつスペシャルな1台として人気を博している「デリカD:5アクティブギア」は、ブラックを基調としつつ、登山ロープやバックパックなどの本格的アウトドアギアに使用されてエマージェンシーカラーとしての意味合いを持つオレンジ色を、内外装の各所にアクセントとして加えた特別仕様車。


2.2リッター直4直噴ディーゼル+6速マニュアルモード付きAT+4WD車をベースに、ミニバンの居住性と積載能力、SUVの悪路走破性を兼ね備えたデリカD:5のSUVらしさをより一層強調している。価格は3,763,800円。


そして、12月22日より予約注文受付を開始し、3月に発売予定の「エクリプス クロス」は、コンパクトSUV「RVR」とミッドサイズSUV「アウトランダー」の中間に位置するコンパクトSUV。

 日本仕様には新開発の1.5リッターダウンサイジング直4直噴ガソリンターボ+CVT、そして三菱のお家芸といえる電子制御4WD「S-AWC」を設定し、スタイリッシュなクーペフォルムとダイナミックなSUVの機動力を融合させた。価格帯は約260万円〜310万円と発表されている。

 オートメッセの会場に持ち込まれたのは、クーペとしてのスタイリッシュさを高めた「プレミアムスポーツコンセプト」。フロントバンパーおよびサイドドアガーニッシュをボディ同色とし、ボディ下部をモノトーンに統一したほか、フロントアッパーグリルをダークメッキ化。足もとには“冒険”の名を冠するレイズ製アルミホイール「STRATAGIA Avventura」(20×8.5J)とアドバン・スポーツV105(245/40R20)を装着し、スポーティさをさらに際立たせたコンセプトモデルだ。


この3台が並ぶCARトップブースの前にはとくに40歳代ファミリー層の男性が多く集まり、中でも極めて希少価値の高い初代デリカバンを細部まで念入りにチェックしていた人が多いのが印象的だった。

 開催初日の2月10日(土)には、三菱自動車工業でデリカD:5の開発を担当している、プロジェクトマネジメント本部・プロジェクト推進部・主任の尾崎行信さんが来場。自動車評論家の片岡英明さん、国沢光宏さん、山本シンヤさんを交え、CARトップブースの特設ステージで「三菱デリカの歴史を語る」と題したトークショーを開催した。

 旧車を語らせたら業界一と名高い片岡さんが「初代デリカは1968年に登場しましたが、ミニバンの元祖と言われる1983年デビューの初代ダッジ・キャラバンよりも遥かに早く発売していてすごいですよね」と、いきなりマニアックなトークを繰り出すと、三菱の尾崎さんは、「自分はいま49歳で、初代は自分より年上。デリカは最初はトラックから始まり、人数を乗せたいというニーズがあって1BOXを追加しました。デリカは“デリバリーカー”の略で、キャンプ仕様もありました」と、初代誕生の経緯を振り返った。


そこに国沢さんが、「初代は“大”というほどヒットしませんでしたが、二代目が本当に大ヒットしました」と当時を振り返ると、尾崎さんは「4WDを作ったおかげで大ヒットしましたね。そもそも初代パジェロを開発中に、『デリカにパジェロの4WDを乗せたら面白いのでは?』と遊び半分で作ってみたらオフロードを良く走ったので、それで発売してみたら大ヒットしたのです」と、貴重な開発秘話を披露してくれた。


「デリカといえばスターワゴンのイメージが強いですね。ミニバンなのにパジェロと同じくらい悪路を走れるのはそそられます」という山本さんが、2代目の新車当時の走りについて国沢さんに聞くと、「2代目はシャープなスタイルで、標準ルーフはとくに格好良かった。足まわりもしっかりしていて、乗っても楽しかったです」と振り返る。片岡さんも「当初はガソリンエンジンが主流でしたが、のちにディーゼルが追加され、加速性能も良かったですよ」と付け加えている。


その後の4代目スペースギアや現行D:5についても、「雪が降ると、デリカに乗っている人は“ヒャッホー”となって、雪道を走りに行きたくなる。最低地上高が200mm以上あると、本当にオフロードに強い」(国沢さん)、「現行D:5はデビュー当初、4WDしか設定がなかった。しかも、45度勾配の急坂を上り下りできる。こんなミニバンは他にない」(片岡さん)、「車高を下げる方向にカスタマイズするミニバンが多い中で、車高を上げると格好良くなるクルマはそうそうない」(山本さん)と絶賛。


尾崎さんは、「昨年の鳥取大雪では、デリカだけは元気に走っていました。45度勾配は、4WDならガソリンでも上れますが、ディーゼルなら余裕です。ミニバンで上れるクルマは他にはありません」と、自信に満ちたコメントを返している。すると3人の自動車評論家から「もっとそういうことをちゃんと宣伝すべきです。三菱のようなメーカーが元気になると僕らも嬉しいですから。たとえば災害の時にはデリカを出して、被災者の皆さんへの配給に使うべきです」と、愛情に溢れた厳しいツッコミがマシンガンのごとく立て続けに入り、尾崎さんがタジタジになる一幕も見られた。


そして、多くのファンが気にしているであろう、これからのデリカの進化について、尾崎さんに聞いてみた。

「デリカD:5は現在月販1000台程度のペースで、デリカからデリカへの乗り換えが多く、ガソリン車からディーゼル車へ乗り換える人も多くいます。デリカには4WD、オフロードというイメージが根強くありますので、それをキープしつつ法規制に対応し、今後も進化を続けていきます。2018年度内に新型6代目を発表すべく、現在鋭意開発中ですので、ぜひ期待して下さい」とのことだった。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
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ゲーム
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