動力性能はもちろんシートのできから運転支援装備までが影響する
「高速道路を使った長距離ドライブが快適、楽なクルマ」と言われたら、その条件はエンジンパワーに余裕がある、スタビリティ(走行安定性)が高い、シートの出来や静粛性といった快適性、最近急速に普及が進んでいる先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)の完成度、燃費と燃料タンクの折り合いによる航続距離の長さなど、いろいろな観点があると思う。
今回は「高速道路を使った長距離ドライブが楽なクルマ」を日本車から選んでみた。単に高級車ならそれらの項目に該当するのは当たり前なので、いろいろなジャンルから筆者の独断も含めて挙げてみたい。
●ホンダN-BOXスラッシュ
クルマが小さい軽自動車は全体的に長距離ドライブが苦手ではあるが、先代N-BOXのプラットホームを使い「高級な軽自動車」として開発されたN-BOXスラッシュは軽自動車の限界はあるにせよ、軽自動車離れしたロングツアラーとしての素質を持つ。
というのもN-BOXスラッシュは高級な軽自動車だけに、一定速で走行するだけの普通のタイプながら、クルーズコントロールを幅広く装備し、静粛性も高く、ターボ車なら動力性能も問題ない。
さらに決め手となるのがサウンドマッピングシステムと呼ばれるプレミアムオーディオ。このオーディオは日本で買えるクルマのなかでもトップクラスの絶品で、内容を考えたら激安だ。サウンドマッピングシステムで好きな音楽を楽しみながら、燃費を稼ぐためクルーズコントロールを低めのスピードにセットし、軽自動車の安い高速料金で移動するというのも快適な長距離ドライブの1つの形といえるのではないだろうか。
軽自動車ではズバ抜けた全体的な完成度に加えACCも装備するN BOXもロングツアラーとしての性能は高い。
●日産ノートe-POWER
トヨタ・アクアやホンダ・フィットハイブリッド、マツダ・デミオディーゼルといったエコなパワーユニットを搭載するコンパクトカーの中で、燃費の良さに加え、スムースかつレスポンスに優れ強力な加速力を持つノートe-POWERは魅力的な存在だ。
しかし登場当初のノートe-POWERはACCではない普通のクルーズコントロールすら設定がなく、ロングツアラーには辛いクルマだった。だがノートe-POWERは大ヒットしたためか、ユーザーからの不満への対応も迅速で、昨年9月の仕様向上で停止まで対応するACCを設定。ACCの完成度もまずまずで、エココンパクトカーにおけるロングツアラーとしての性能を一気に高めた。
そのほか、ロングツアラーとしてノートe-POWERのライバルになるコンパクトカーを挙げてみよう。
まず、作動する速度域が30km/h以上で停止までは対応しないもののACCを設定する上、斜め後方を監視し進路変更の際などの事故防止に絶大な効果を持つBSM(ブラインドスポットモニタリング)を全グレードの標準装備するマツダ・デミオディーゼル。燃料代という観点で軽油の安さも加味すればハイブリッドのコンパクトカーとガチンコ勝負でき、シートの出来もいい。
そして、デミオディーゼルと同様にACCの作動速度域は30km/h以上ながら、1.4リッターターボでパワーに余裕のあるスズキ・スイフトスポーツ(とくにATとの相性が良い)を挙げておく。