長距離走行が苦痛……はクルマに原因!? ロングドライブ向きなクルマの条件5選

クルマ次第でロングドライブの疲労や苦痛は激変

 ロングドライブが苦手という人は意外と多い。クルマ好き、運転好きの人でもロングドライブだけはあまり好きではないとの声を耳にすることは少なくないが、ロングドライブが苦痛に感じられる理由は、「あまりロングドライブ向きではないクルマに乗っているから」なのかも知れない。ロングラン

 筆者はロングドライブが大好きで、自宅のある埼玉県所沢市から福岡県にあるヤフードームまでの約1100kmぐらいの距離であれば1日で走りきることも苦ではないと思えるタイプだ。

 個人の性格や資質によるところもあるかも知れないが、ロングドライブがあまり苦痛に感じられないのは、ロングドライブでも疲れにくいクルマに乗っている時に限られる。ロングドライブ好きの筆者でも、あまりロングドライブ向きではないクルマに乗ると、埼玉から東京へ出る程度の距離でもツライと思うことさえある。

 そこで今回は、ロングドライブに快適なクルマの条件を5つ挙げてみた。

1)運転環境(着座姿勢/視界)
2)質の高い直進安定性
3)悪天候への対応能力
4)高性能な運転支援システム
5)車内オーディオ性能/静粛性

1)運転環境(着座姿勢/視界/静粛性)

 長距離・長時間の運転時において、もっとも重要なのは運転環境だ。まず注目すべきはシート。運転中に身体が疲れる最大の原因は、身体とシートの接地面の血流が悪くなることなので、体圧の分散力に優れ、骨盤の安定性が高いシートを備えるクルマを選びたい。できの良いシートは身体の血流の停滞を最小限に抑えてくれる。

 ショールームなどでパッと座っただけではなかなかわからず、体型とシートの相性の良し悪しも関係するが、傾向としては、運動性能の高いスポーツモデルが優れたシートを備える場合が多い。レカロなど、高性能シートのブランドもロングドライブに適したものが多く見られる。背もたれや座面、ランバーサポートなど、調節範囲の多さも注目ポイントだ。

 シートに次いで、ステアリングやシフト、ペダル類の位置関係も重要。ステアリングはチルト機能とテレスコ機能の両方が備わるのが望ましい。あとは視界。Aピラー部分や後ろ斜め方向の死角が少ないと、それだけで運転中の緊張感が低減される。

 試乗をして、自分のベストポジションがすぐに決まるクルマは運転環境が良好な証拠だ。逆に、走り出したあともなかなかベストな位置が決まらず、何度もシート調整をしたくなるようなクルマは、着座環境そのものが良くない場合が多い。

 ちなみに、ロングドライブの鉄則は「こまめに休憩をとること」。いかに着座環境に優れたクルマでも必ず疲労はするので、できれば1時間ごとに軽く休憩をとることが望ましい。

 SA・PAなどで一旦クルマから降りてトイレに行くだけでも心身のリフレッシュ効果は非常に高いので、「まだ疲れてないから大丈夫」と思っていても、積極的に休憩をとるように心がけよう。結果としてより疲れにくく、ロングドライブの楽しさが増幅されるはずだ。

2)質の高い直進安定性

 今どきのクルマは、どれも一定以上のレベルの直進安定性を備えており、不具合が出てない限り、一般道での走りにおいては、直進安定性が極端に悪いクルマはなくなったといえる。それでも、長い距離を延々と走り続けるような場面では、直進安定性の質に差が出るのも事実。

 たとえば綺麗な路面では問題がなくとも、路面が荒れてくると左右のどちらかにステアリングが取られそうになる感覚が強くなったり、速度域が上がるのに比例してステアリングを強く押さえたくなるようなクルマは、直進安定性の質がそれほど高くない。質の高い直進安定性を備えるクルマは、路面の状態や速度に関係なく、ステアリングを保持する力を変える必要がないため疲れにくい。

 また、超ハイトワゴンと呼ばれる背が高い軽自動車など、ボディの全高が高い割にトレッド幅が狭く、タイヤが細いクルマは横風に弱いため、強目の横風に当たると進路が大きく乱れることが多い。

 横風に弱いクルマは精神的な疲労が増すため、あまりロングドライブ向きではないといえる。

3)悪天候への対応能力

 さまざまな地域を走り抜けるロングドライブをしていると、天候がめまぐるしく変わることが多い。とくに山間部では予想以上の大雨や思いがけない降雪に見舞われるようなことがしばしばあるので、悪天候に対応できる性能を備えていることが重要だ。安心感が最強なのは四輪駆動、できれば常に四輪駆動で走行するシステムを備えたクルマだ。出先で思いがけない悪天候に遭遇しても、常時四輪駆動状態で走るクルマは不安要素が少なく、悪天候のプレッシャーを大幅に低減できる。

 四輪駆動ではなくても、四輪の接地性やトラクション性能に優れたクルマは安心感が高い。また、悪天候時はタイヤの性能も大きく安全性を左右するので、摩耗の進んだタイヤでロングドライブに出かけると疲労感が激増するので避けよう。

4)高性能な運転支援システム

 運転環境の優れたクルマで、こまめな休憩をとりながら順調にロングドライブを続けていても、やがてアクセルペダルを踏み続ける右足に疲労がたまり、辛くなってくる。

 そんなときにありがたいのが運転支援システム。先行車自動追従機能付きのオートクルーズコントロールを使えばロングドライブの疲労は劇的に低減されるので、ロングドライブをする機会の多い人は必ず選びたい装備だ。

 渋滞時も極めて有効なので、先行車自動追従機能つきのオートクルーズコントロールは「全車速対応型」が備わるものを選びたい。

5)車内オーディオ性能/静粛性

 ロングドライブ中、ドライバーが運転以外の行為を唯一楽しめるのが音楽。高性能なカーオーディオで臨場感に溢れた音楽を車内で目一杯楽しむと、ロングドライブの疲労を軽減する効果が高い。

 最近は、純正カーオーディオの高性能化が著しく、有名な高級ブランドのオーディオを搭載するクルマが増えている。ロングドライブ派のドライバーには、オーディオ性能もこだわったクルマ選びをすることを推奨する。

 また、静粛性に優れたクルマはそれだけでも疲れにくいし、オーディオを楽しむ環境が整っているといえるので、ロングドライブ向きといえる。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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