チェーンを駆動輪以外に巻くクルマも
4年ぶりの大雪となった関東地方の道路は、当然の如く大混乱である。至る所で激しい渋滞に見舞われ、バスやタクシー、物流のトラックまで動けない状態に。雪国の人からすれば「たった20cmの雪でだらしない」と思うかもしれないが、関東地方の場合、絶対的な交通量からしてケタ違いに多い。
地方の国道なら一定間隔で除雪車を動かすことも出来るだろうけれど、平常時から渋滞している東京都内で除雪車を走らせたら、その行為自体で大渋滞になってしまう。「スタッドレスタイヤを履いておけばいい」と思うかもしれないが、普段雪の無い道路でスタッドレスタイヤもナンセンス。
いろんな意味で「4年に1度の大雪なら諦める」がもっともコストパフォーマンスとして高いかもしれない--ということを前提にしながら、やはりこういった時のための雪に対する知識を持っておくべきだと思う。特に今回スタックしている車両の多くは、本来ならプロであるバスやトラックなど業務用。
以下、知っておいて欲しい知識を。まず降ったばかりの雪。凍っていない状態なら、どんな冬タイヤでも走れると思っていい。10年前の古いスタッドレタイヤでも、アジア製の安価なスタッドレスタイヤでも、はたまたSUVに標準の『M+S』(マッド&スノー)でも走れてしまう。
降ったばかりの雪はトレッドパターンでグリップを作る。つまり長靴の底のようにデコボコしていればOK。もし手元に雪用のタイヤが無ければ、次の雪のため中古品でもよいから準備しておくといいだろう。急な雪に遭遇し、自宅や会社まで戻る程度なら、安いタイヤで十分。
一方、降った翌日の「凍った道」だと性能の悪いスタッドレスタイヤは厳しい。雪の降った翌日以降も仕事でクルマを使うというなら、新品の高性能スタッドレスタイヤを次の雪のために用意しておくこと。今シーズンは関東地方の雪が多くなると予想をする研究家も多い。
1月22日の雪で大渋滞のキッカケを作った車両を見ると、チェーン装着車も目立った。おそらく「チェーンを付けたから大丈夫!」という判断なんだろう。けれどチェーンの扱いに慣れていないため、結果的にまったく効果を発揮出来ていないケースも少なくない。例えばチェーンを装着するタイヤ。
当たり前ながら駆動輪に装着しなければならないのだけれど、FF車の後輪に装着していたり、ハイエースなどFR車の前輪装着も目立つ。FF車ベースの4WD車の後輪装着だって多かった。宅配便のトラックや路線バスは、装着に慣れておらず、道ばたで延々作業する姿もあり渋滞を作っている。
また、中途半端な装着方法のため、外れてしまうことも多い。仕事で使うクルマなら、なおさらプロ意識を持ち、雪道に対する知識を持つべきだろう。今回の失敗をぜひ次の雪に活かして頂きたいと思う。