歴代日産マーチの中で唯一のステーションワゴン
日産のベーシックカーとして、多くのバリエーションを持っていた歴代マーチ。初代では3/5ドアのボディタイプだけでなく、ターボモデル、スーパーチャージャーとターボを同時に搭載したスーパーターボといったホットモデルを用意する一方でキャンバストップもラインアップ。2代目ではカブリオレ、3代目ではハードトップを持ったオープンモデルのC+C、現行モデルでは唯一のMTを用意するNISMOが設定されるなど、幅広いラインアップでユーザーのニーズに応えてきた。
そのなかでもやや異色の存在と言えるのが、2代目が現役だった1999年に登場した「マーチBOX」だろう。名前だけを聞くと四角いマーチを想像するかもしれないが、マーチベースの四角い車両は1998年にキューブとしてすでに登場している。では、マーチBOXは何かというと、マーチのステーションワゴン版なのだ。
現在までのマーチの歴史のなかで唯一のステーションワゴンとなるマーチBOXは、ホイールベースはベースのマーチと同じく2360mmだが、リヤのオーバーハングが240mm延長されており、それがそのまま荷室スペースの拡大に充てられている。そのため、前から見る限りは通常のマーチとの違いを見極めることは難しく(全高が25mm高くなっているが)、すれ違ってからマーチBOXであったことに気づくということも少なくないはずだ。
搭載されるエンジンはベースのマーチと同じく1リッターと1.3リッターの2種類で、MTの設定はなし。荷物を積むことを考えると1リッターはややアンダーパワーな印象は否めなかった。
そんなマーチBOXは、登場から2年も経たない2001年には早々にラインアップから消滅。それもそのはず、同時期に販売されていたステーションワゴンのウイングロードの1.5リッターモデルと同等の約140万円(1.3リッターCVT)という価格だったのだ。
そのため、中古車市場でもレア車に含まれるが、一味違ったステーションワゴンが欲しいという方は中古車検索してみても面白いかもしれない。