エアブレーキのエアが抜ける音
大型トラックやバスは、停車すると同時にプシューという大きな音を出しますね。乗用車などでは聞かれることのない音ですが、あれはエアブレーキの音です。ブレーキに使っていた高圧の空気を、停車したので不要になったから放出し、その時に音が出るわけです。どうして乗用車のような油圧式ではなく、空気式が採用されているのでしょうか?
それは乗用車よりも、はるかに大きな制動力が必要だからです。大型バスでも総重量ば16tくらい、大型トラックが荷物をフルに積み込むと25tにもなります。10倍以上も重いのだから、当然ですね。
乗用車の油圧ブレーキは、エンジンの負圧を利用したマスターバックという装置によって、操作力が軽くなっています。ブレーキには、ドライバーがブレーキペダルを踏んだ力+マスターバックが上乗せしたアシスト力が、油圧として伝わります。
しかし大型トラックやバスなどでは、それでは不十分で、もっと強力にアシストしてくれるシステムが必要なのです。それで空気をコンプレッサーで圧縮し、高圧とすることでアシスト力を大きく高めているのです。ただしブレーキペダルはその高圧空気の調整バルブにつながっているので、ブレーキに伝わる力は高圧空気の圧力だけになります。
もちろん油圧をポンプで高圧にする方法もあるのですが、空気を使ったほうがシンプルなシステムになります。またエア漏れの場合は音が出るので発見しやすいし、トレーラーのように牽引する場合にはチューブを繋げればブレーキを作動させることができます。油圧の場合にはエア抜きなどをしなければなりませんが、そもそもがエアなのでそういったメンテナンスは不要です。
また大型トラックやバスでは、パーキングブレーキにもエアブレーキが使われています。パーキングブレーキは通常はスプリングによって作動した状態になっています。走行する場合には、そのスプリングを押し戻すエアを供給することで、パーキングブレーキをキャンセルします。そして停車してパーキングブレーキを作動させると、そのエアを抜くのでプシュという音が出るわけです。停車時に聞くのは、パーキングブレーキを作動させる時の音が多いかもしれません。