値引きの中身によってはそれほど「得」してないことも
新車の値引きを構成するものには、車両本体値引き、用品値引き、下取り査定額の上乗せそしてローンを利用することでの値引き支援が主にある。
車両本体値引きの原資は車両本体価格(またはメーカー希望小売価格など)における、ディーラーの利益分となる。車両本体価格の内訳を簡単に説明すれば、”製造原価+メーカーの利益+ディーラーの利益”となる。ディーラーはメーカーから新車を仕入れてエンドユーザーへ販売している。
そのあとでディーラーが定価(車両本体価格)で売ろうが、値引きして売ろうが、自分たちの利益を減らすだけなので極端な乱売を行わない限り、メーカーがそこにタッチすることは原則的にはない。バブルのころに比べれば車両本体値引きが渋めとなっているのは、ディーラー利益分が薄くなっていることが影響しているのである。
用品値引きはおもにディーラーで装着する、”ディーラーオプション”からの値引きとなる。値引きの大まかな目安はオプション総額から20%引き程度となる。たとえばカーナビなども含めてディーラーオプション総額が30万円になったとすると、そこから6万円引きぐらいは値引きとして獲得できると考えてもらいたい。
もちろん20%引き以上になることもあるが、その時は注意が必要。メーカー純正以外の用品が含まれていれば、たいていはかなり安い卸値で仕入れているが、買い得感の強調では“定価から●%引き”のような表現を使い買い得感を煽ってくるのだが、当然その文句ほどは得していないのが一般的。
昨今の値引き交渉で鍵を握るのが下取り査定額の上乗せ。下取り査定は本来ならば当該車種の現状での価値判断のみで査定額が決められなければならないのだが、最近では中古車市場での人気動向なども考慮して決められるだけでなく、”新車値引き支援として5万円上乗せ”などとして査定額がアップしていくのである。必ずしも下取り車と同じメーカー系ディーラーがもっとも好条件というわけではなく、どれぐらい幅広い再販やオークションネットワークを持っているかに関わってくるのである。
ローンを使って新車購入した場合にも、新車値引きへの支援が行われる。今は一般的に”ディーラーローン”と呼ばれるものは、メーカー系ファイナンス会社の商品を、その代理店的立場のディーラーが利用を”勧める”という形でわれわれ消費者が利用している。
ローンが利用されると、ファイナンス会社からディーラーへはマージンが支払われる。そしてこのマージンの一部が値引き支援にまわされ、新車の値引きがアップしていくのである。ただ当然金利が発生するので、もともと現金一括払いのひとが”ローンを使って値引きアップめざそう”としても、金利負担分は支払い総額が増えてしまうので、支払い増額分と値引きアップ分の損得勘定が慎重に行ってもらいたい。
今どきの新車値引きはさまざまな要素が絡み合って構成されている。自分にとってどこが”攻めどころ”となるのかを把握して値引き交渉を進めてもらいたい。