英語の「drift」が語源で「漂う」「流される」といった意味
ドリフトの語源は、英語の「drift」。もともとの意味は、「漂うこと」「流されること」。船舶用語では、「(風や潮流による)漂流、横流れ」「流程:漂流した距離」といった意味があり、ドリフト走行のドリフトも、これらが語源になっていると思われる。
また、航空関係では「偏流、横滑り、ドリフト:側面からの風のために航空機が進路から外れること」をドリフトという。余談だが、あのザ・ドリフターズの名前の由来も「ドリフト」から。ドリフター=漂流者、ドリフターズで「漂流者たち」という意味だが、ドリフの場合は、「ドリフト」というより、時代を“席巻”したといった方がいいだろう。
クルマ用語で、ドリフトという言葉が、特別な響きを放つようになったのは、やはり「サーキットの狼」以降となる。四輪ドリフト、慣性ドリフト、ブレーキングドリフトといったフレーズを、サーキットの狼で覚えた人も多いはず。
低μ路を走る、ラリーでは一般的な走り方だが、やはりサーキットでのレースで、しかも速いドライバーがドリフトを駆使するのは、今も昔もレアなケース。タイヤも傷むし、タイヤが滑る分失速しやすいが、ドリフトを得意として、しかも速いドライバーが稀に現れる。
そうしたドライバーは、(限界を超えた?)アグレッシブなドライバーとして、人気があるのはご存じの通り。F1ドライバーでいえば、「サイドウェイ・ロニー」の異名をとった、激しいテールスライドでファンを魅了したロニー・ピーターソン。そしてフェラーリの英雄ジル・ヴィルヌーヴ。さらには、2016年世界チャンピオンのニコ・ロズベルグの父親、元祖フライングフィン=ケケ・ロズベルグなどが有名だ。
国内の古くは高橋国光さん、そしてドリキン土屋圭市さん、織戸学さん、谷口信輝さんといったところで、派手な走りだけでなく、キャラクターも突出していて根強い人気を持つのが共通の特徴。
バイクの世界でも、ケニー・ロバーツやフレディ・スペンサー、ワイン・ガードナー(日本のGT選手権でも活躍)が、豪快なパワースライド=二輪ドリフトで一時代を築き、一大バイクブームを作った。そういう意味で、モータースポーツにおけるドリフトには、理屈を超えた抗いがたい魅力がある。