ファンには伝わる随所にちりばめられた演出
11月5日まで東京ビッグサイトで開催されていた東京モーターショー2017。そのフォルクスワーゲンブースで大きな注目を集めたのが、未来のフォルクスワーゲンがリリースするEV車のコンセプトモデルである「I.D.BUZZ」だ。
そのデザインモチーフは、もはや説明するまでもないかもしれないが、皆さんご存じのタイプ2(通称ワーゲンバス)だ。前後にモーターが配された4WDであることや、のシステムパワーは275kW/374馬力と高出力であること、600kmの航続距離を誇ること、そして完全自動運転を備えていることなど、多くのトピックが存在するが、やはり旧来のフォルクスワーゲンファンならばその姿形にハートを射抜かれたことだろう。
電気自動車といえば空気抵抗を意識したフォルムが採用されがちだが、明らかに空気抵抗の大きい箱型のボディを採用してまでワーゲンバスのイメージを踏襲したところには頭の下がる思いだ。さらに前後のウインドウの上部には、どう考えても空気抵抗を増大させそうな「ひさし」まで再現されるこだわりっぷりなのだ。
また、EVであるにもかかわらず、リアのクォーターパネルにはリヤに空冷エンジンが乗っていた名残を思わせるスリットが入れられていることもまたニクイ演出である。
内装に目を移せば、白を基調としたシートにウッド調の床、そしてガラスルーフと解放感溢れる空間が広がっている。実際に乗り込むと床下にバッテリーが敷き詰められていることからフロアが高く、見た目ほど頭上に余裕がなかったが、シートに座ってしまえば一切気にならないレベルだった。
運転席に移ってみればアクセルペダルには「再生」マーク、ブレーキペダルには「一時停止」マークが描かれているなど、遊び心も満載だ。
未来感を前面に押し出すコンセプトカーが目立った今回のモーターショーにおいて、こういったワクワクするような楽しいイメージを持ったI.D.BUZZはひと際輝いて見えた。