交通渋滞時は料金の加算基準が距離から時間へ変わる
タクシーの使い方はひとぞれぞれだが、オフィスから最寄りのターミナル駅までなど、決まったルートを頻繁に使うひとも多いはずだ。そのような使い方をしているときに、同じルートを乗っているのに、料金が日によってなどで異なることがあるはずだ。
タクシーの料金メーターの加算方法は、”時間距離併用式”というものになっている。タクシーのリヤドアのガラスに貼ってある”410円”という料金は、”初乗り”と呼ばれるもので、最初の1.052km内の運賃となり、以後は”爾後料金(じごりょうきん)”などとも呼ばれるが、237メートル走行するごとに80円が加算される。
さらに交通渋滞などで時速10km以下になると、料金の加算基準が距離から時間へ変わり、1分30秒ごとに80円が加算されることになる。そのため、タクシーに乗り込み、目的地に向かう途中に「ちょっとコンビニに寄ってください」といって、買い物の間待っていてもらう間も料金は加算されていくのである。
ただ、東京ならば首都高速道路に入り渋滞に遭遇してしまえば、逃げ場がなくなるのに時間加算されていくのは納得がいかないところ。そこでタクシーメーターに設置されているのが、”高速”ボタン。このボタンを押すとメーターの加算が距離のみになるのである。
前述したコンビニに立ち寄ったときでも、この高速ボタンを押して料金が加算されないようにしてくれる運転手もいるが、目的地到着直前に信号待ちとなったときに清算(メーターをあげる)ボタンを押してしまうことなども含め、こうしたサービスは、厳密にはメーターの不正使用になるということを聞いたことがある。
また22時から翌日の5時までは”深夜割増”の時間帯となり、初乗り及び加算していく距離が短くなっていくことで、2割増しとなる。
頻繁に利用するコースならば、”相場”が把握できるので、それと比較して料金が高いときには、渋滞が頻発する時間帯や深夜割増時間帯など、いつもより料金がアップする事象があったかどうか確認してみよう。日本では厳格にメーター検査を定期的に行っているので、不正操作はまずありえない。
筆者は決まったルートをよく利用するのだが、たまに新人の運転手などが経路確認もせずに迂回走行をしようとするときがある。そんなときは「遠回りじゃないですか」などと運転手に言ってルートを補正してもらう。目的地近くなると、当然ながらメーター料金はいつもより明らかに高くなっている。そんなときに運転手の多くは「いつもはいくらぐらいですか?」と聞いてきて、その”いつもの料金”以上は受け取らないことが多い。つまりオーバー分は運転手が被ることになる。
また運転手がメーターを入れ忘れて、しばらく走行してしまうこともしばしば遭遇することがある。このような場合でも運転手はメーター料金以上を請求することはできない。そうした場合によく、「2000円でいいです(メーター表示料金よりは高い)」と運転手にいわれることがあるというひともいるかもしれないが、メーター料金以外は支払う必要はない。
それは、メーター料金は、法人タクシーならば、そのすべてが運転手の売り上げになるわけでなく、事業所と取り決めた割合で、事業所と運転手が折半することになる。つまりメーター料金以上の金額を払うと、メーター料金との差額はまるまる運転手の売り上げとなるからだ。チップのような性格の支払いになるので、乗客が「それじゃかわいそうだ」など状況を理解して払う分には問題はないといえるだろうが、あくまで強制ではないのは確かだ。