九州地区では20年前後使っているというデータも
一般乗用車ならば、初回車検(初度登録から3年)や、2回目の車検(初度登録から5年)ぐらいが代替えの目安とされているが、それでは路線バスの代替えサイクルとはどんなものなのだろうか?
国土交通省のある資料には残念ながら路線バスに限定したものではないが、”標準能率事業者(バス)の平均使用車両年数”というものがあった。全国を10の地域に分けて大型、中型、小型のそれぞれの使用車両年数がリストアップされている。たとえば関東地区の大型バスの平均使用車両年数は13年。もっとも長いところでは九州が20年となっていた。なかには九州地区の中型バスで22年というものもあった。
みなさんも感じているように、東京都下や大阪などの大都市も含む都市部の路線バスでは卸したての新型車など、比較的年式の新しい車両が多いことに気がつくはず。都市部のバス事業者は収益が安定し、新車への代替えしやすいということや、環境規制などが厳しいので新型車への代替えが目立っている。
地方でも新車がまったく走っていないということはない。より環境にやさしい新車への代替えを促進するために、購入補助を行う自治体もあるが、そうはいってもたとえばいすゞエルガの東京地区希望小売り価格(バス本体のみ)で約2500万円もするので、おいそれとは新車への代替えができないバス事業者も多く、地方では、より古いバスが目立つようだ。
さらに新車への代替えの代わりに、都市部の事業者で使用されていた車両を中古として購入するケースも多いようだ。都市部のバス事業者が環境性能の高い最新バスへ代替えし、入れ替えた使用済みのバスを地方の事業者が中古として購入することで、結果としては全国的に、より高い環境規制レベルに対応したバスへの入れ替えが、円滑に促進されるという側面もある。
関東地区でも東京隣接県では、最新バス車両への代替えが日々行われているが、“北関東”とも呼ばれる、群馬、栃木、茨城の3県では、バス愛好家が泣いて喜ぶ古い車両も現役で営業運行しているが、その一方で最新型への入れ替えも進んでおり、それらが混在して営業運行している様子を見て、さらに感激するといった話も聞いたことがある。
バス車両の売買事情に詳しいひとに ”下取りしたバス車両の再販先”について聞いたら、「大半は都市部から地方の事業者へ流れることになる。そしてその後一部は海外に輸出されることもある」とのことであった。地方で”第二の人生”を送ることとなったバス車両については、以前使っていた事業者の車体カラーリングそのままで使っていたり、事業者の”ゆるキャラ”柄を織り込んだシートをそのまま使うケースも目立つとのことだ。
路線バスに乗るのが大好き(いわゆる”乗りバス”)な筆者は、地方出張したときには、まず駅前ロータリーなどへ行き、どんなバスが使われているかチェックするのを何よりの楽しみとしている。
数年前にはインドネシアのジャカルタで、古い型の日野ブルーリボンという車両が活躍しているのを見て感動したことがある。