この記事をまとめると
■全日本ジムカーナ選手権の第2戦が奈良県の名阪スポーツランドにて開催
■出走するマシンの多くはガソリンの量を調整して軽量化している
■車種や選手ごとにそれぞれ考え方が異なる点がユニークだ
奥が深すぎるジムカーナの燃料事情
決められたコースでタイムを競うスピード競技はモータースポーツのなかでもシビアなカテゴリーだ。軽量化を追求すべく、ガソリン搭載量もギリギリの状態で、“貧乏ランプ”が点灯するなかでタイムアタックを行うことも珍しくはない。
なかでも、走行中にタイヤ&ホイールに泥が付着し、バネ下重量が重くなっていく未舗装路のダートトライアルと違って、舗装路を舞台とするジムカーナは、多くのドライバーがガソリン搭載料を極限まで少なくしている傾向にあり、最高峰の全日本ジムカーナ選手権になると、給油のマネジメントも攻めた状態だ。
というわけで、4月19〜20日、全日本ジムカーナ選手権の第2戦が開催された奈良県の名阪スポーツランドで、燃費性能に劣る改造車のドライバーにガソリン搭載量と1周あたりの燃費を直撃した。
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まず、後輪駆動の改造車を対象にしたBC2クラスでシビアな燃料マネジメントを行っているのが、2024年のBC2クラスで4連覇を果たした広瀬 献選手だ。
広瀬選手のマシンはホンダS2000で、ガソリンはノーマルタンクに8リットル、コレクタータンクに2リットルの計10リットルを搭載。名阪スポーツランドでの1周あたりのガソリン使用量は1リットルということを考えると、やや余裕のある設定。
その理由について広瀬選手は「赤旗で再出走というケースもあるので、計算上は再出走の3ヒート目を走行できる量です。燃料計を生かしているので、警告ランプは点きっぱなしの状態。本当はもっとガソリン量を減らしたいけど、ガソリンが少ないと燃料の温度が上がるので、ある程度は搭載をしていないと厳しいです」と語る。
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たしかに、夏場の高温時にはガソリンが熱によって気化、燃料内に気泡が発生するパーコレーションを引き起こし、走行中の不調やパワーの低下を招くことから、広瀬選手はそれを見越して給油量をマネジメントしているというわけだ。ちなみに広瀬選手は2025年に合わせて燃料タンクを競技用タンクに変更しており、それに合わせて新たなマネジメントを行なっているそう。
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一方、同じBC2クラスにマツダRX-7で挑む藤井雅裕選手は、1周あたりの使用燃料が3リットルという燃費性能が影響しているのか、ガソリン搭載量を30リットルとし、余裕をもった状態。
藤井選手によれば、「基本的にノーマルタンクですし、ガソリン搭載量をギリギリにすると燃料の偏りでコーナーによってはガス欠症状を起こしてしまうので、安全マージンをとって多めに入れるようにしています。以前、15リットルで競技に出場したことがあるんですけど、それだとガス欠症状が出たので、ガソリン量で攻めることはしなくなりました」とのこと。
同じ改造車クラスとはいえ、車両によってもかなり異なっている。
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