GRが考えるハイブリッドスポーツの姿を示したモデル
2017年10月25日(一般公開は28日)から開催される第45回東京モーターショー2017に、トヨタ自動車は「GR HV Sports Concept」を公開する。
写真を見て、これは86の進化した姿だと思われたかもしれないが。残念ながらその可能性は極めて低い。このモデルは「TS050 HYBRID」で使用されているハイブリッド技術を投入したTHS-R(TOYOTA Hybrid System-Racing)を搭載したクルマで、駆動方式こそFRとされているが、86の進化版というよりは、ベース車両としてたまたま86を使ったということである。このクルマが86と直接繋がっている訳ではないようだ。
思えばトヨタは、これまでにもMR-Sをベースにした「GRMNスポーツハイブリッドコンセプト」を2010年の東京オートサロンで発表。翌年には、ニュルブルクリンク24時間耐久レース会場にて「GRMN SPORTS HYBRID ConceptⅡ」を展示していた。今回発表された「GR HV Sports Concept」は、その流れを汲んだモデルと考えるのが正しいだろう。
86をベースとしたコンセプトカーとしては、第83回ジュネーブ国際モーターショーに出展したオープンカー「FT-86 Open concept」や、2015年のFUJI 86 Style with BRZに展示された86先行スタディ車両などがある。このスタディ車両は、スーパーチャージャー/ワイドフェンダー/ガルウィング仕様というクルマであったが、いずれも直接商品化というわけではなかった。86を題材としてどこまでスポーツ性能を追求できるか試しているクルマであり、トヨタとしては、さまざまな試験車を作成しているようである。東京モーターショー2017に展示される「GR HV Sports Concept」は、TS050 HYBRIDをイメージさせるLEDヘッドライトやホイール、リヤディフューザーを採用。トヨタのモータースポーツとの強いつながりを感じさせるデザインになっている。
往年のオープンスポーツカー「トヨタスポーツ800(通称・ヨタハチ)」、「スープラ」にも設定された「エアロトップ」スタイルを採用していて、開放感のあるスポーツフォルムを提案している。
センタークラスターにオートマチックのギヤポジションを選べるスイッチを配し、レーシーな雰囲気を演出する。プッシュ式のスタートスイッチを開閉式のシフトノブ内に設置している。 また、このクルマはオートマチック車でありながら6速マニュアル車のような操作を楽しめるHパターンシフトを採用しているということも大きなトピック。あくまでもオートマなのでクラッチペダルは存在しないのだが、スポーティな走りを楽しみたいというときには、マニュアル的な操作を楽しめるのだ。
すべてがコンセプトという車両ではあるが、このクルマの一部分が将来のスポーツカーに採用されるということは大いに考えられる。東京モーターショーの会場ではじっくり観察していただきたい1台であることに違いはない。