修理時のメリットなどが理由だが最近は黒が増加中
先日知り合いから、「個人タクシーは白いクルマばかりだ」という話を聞いた。もともと東京の個人タクシーは日個連(日本個人タクシー連合会)と、東個協(東京個人タクシー協同組合)のどちらかに加盟している車両がほとんで、それぞれの組合のタクシーのボディカラーが白を基調としているので、東京では白い個人タクシーが多いのである。
近年ではいずれの組合にも加盟しない個人タクシー事業者も目立つが、その流れもあったり、ドアパネル交換などはリビルトパーツで対応するので、その関係で白が選ばれることが多いようだ。
ただ、その東京でも近年では事業者タクシーの間での“黒タク”の普及により、前述したふたつの組合加盟の個人タクシーでも“黒タク”が目立つようになっているし、組合に加盟していない個人タクシーでも“黒タク”が目立っている。
もちろん白や黒系以外にも、さまざまなボディカラーが存在するが、かつてはグリーン系が目立っていた京都など、東京以外でも個人タクシーの“黒タク化”は着々と進んでいるようである。
東京の場合ではとくに事業者タクシーにおける黒タク化が目立ってきているのが、個人タクシーの“黒タク化”を進める一因となっているのは間違いないだろう。
ある事業者ではボディカラーを黒にするだけでなく、標準車両でも5ナンバーサイズのクラウンセダンやクラウンコンフォートではなく、黒の3ナンバーのクラウン・ロイヤルサルーンを導入し、黒のメルセデスベンツなども用意している。ハイグレード車に黒のボディカラーとなると、ハイヤー気分で利用できることもあり、タクシーとしての営業形態も“流し”や駅前などでの“着け待ち”よりも、予約配車、つまり固定客がつきやすくなっているとのことである。
つまり事業者タクシーより、ハイグレードな車両を使っている個人タクシーも、“固定客”が多いのだが、事業者タクシーが個人タクシーの領分を脅かしてきているともいえるのだ。
黒タク需要の特徴は“ハイヤー代わり”である。つまりセダンタイプの車両でないと、多人数乗車のニーズでもない限りはなかなか馴染まない。しかし今後はトヨタ、日産ともタクシー専用車両(営業車)としてセダンタイプはラインアップしないので、事業者、個人タクシーともに使用車両も含めて定着してきた“黒タク需要”をどのように継続して取り込んでいくのかが興味深いところである。