クルマ好きが入社すれど時間が経つと……じつは超現実的な新車ディーラーマンの愛車事情

この記事をまとめると

■ディーラーに勤めている人のほとんどは自社のクルマを愛車にする

■愛車を使って商談をする場合もある

■スポーツカーは実用性に劣るのでミニバンやSUVを選ぶ社員が多い

愛車がときにはセールスツールになる場合も

 ディーラーに勤務している場合、愛車は当然ながら自車の取り扱い車種になる。セールスマンに話を聞くと「ディーラーにはクルマ好きも多いから、個人的に他社の旧車などを所有している人もゼロではないが、自社のクルマと複数で所有するのは大変だ。なので普通は、自社製品を1台だけもっている人が多い」という。

 では、どういうクルマを所有しているのか。

「自社製品なら自由に選べる。強制されることはないが、実際は売れ筋のSUVやミニバンが多い。奥さんや子どものいる人が多いから、どうしてもファミリーで使えるSUVやミニバンになる。そして、お客さまが自分のクルマと同じ車種を希望されているときは、ご自宅などに出かけたときに、自分のクルマを使って装備や荷室の説明をしたりすることもある。こういうときは、お客さまの希望が多い人気車に乗っていると便利だ。また、ご自宅を訪問したときも含めて、自分のクルマをお客さまに見られることが多いから、洗車はキチンとしている人も多い。乗り替えも定期的に行う」

 一方で、ディーラーにクルマ好きの社員が多いなら、スポーツカーとか、高性能車に乗りたいこともあるのではないか。聞くと、

「スポーツカーは家族で使いにくく、高性能車は価格が高い。社員でもローンの審査はお客さまと同じようにキチンと行うから、高価格車を長期ローンで買うのは現実的ではない。また、仕事でクルマを扱っていると、学生のころに感じた憧れの気持ちは次第に薄れる。だからカテゴリーや価格は現実的な車種を選ぶ傾向にある。お客さまに自分のクルマを見られたときのことを考えても、背伸びをしたクルマには乗りたくない」という。

 たしかに、年上のお客さまの自宅を訪問したとき、自分がお客さまの買う車種よりも高いクルマに乗っていたら、ちょっと具合が悪いこともあるだろう。クルマを毎日扱っていると「憧れの気持ちが次第に薄れる」のも何となく理解できる。結局、人気が高くて適度に求めやすいSUVやミニバンになる。

 このカテゴリーにはコンパクトで買い得な車種もあり、なおかつ、いかにも営業車的になるのも避けられる。好都合なわけだ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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