歴代レガシィで一番デザインがいいのはどれ? デザインのプロは名デザイナーの血が入った4代目を選択

この記事をまとめると

スバル・レガシィは6代にわたる歴史をもつスバルの長寿モデルだ

■4代目はコンセプトを体現したフロントマスクや洗練されたプロポーションが高得点

■各世代で秀作デザインが続いたが4代目はとくに完成度が高いといえる

名作揃いの歴代レガシィのなかでもまとまりに優れた傑作

 長寿モデルをはじめ、何代かに渡って販売されるモデルはそれぞれの時代を反映させたコンセプトが盛り込まれており、もちろんそれはスタイリングにもいえること。

 そこで、各車種の歴代モデルのなかからあえてベストデザインを選んでみるのがこの企画です。なにしろ個人的な意見ゆえ、苦情反論は受け付けませんので悪しからず(笑)。

●名デザイナーが提案した美しい「顔」

 本シリーズ4回目となる今回取り上げるのは、スバルのレガシィです。今年の3月末で現行の6代目アウトバックが受注を終了、国内市場から姿を消すこととなった同車ですが、それでも1989年登場の初代から36年間の歴史を築いた長寿モデルです。そのなかで筆者は、2003年に登場した4代目(BL/BP型)をベストデザインとしました。

 レオーネの後継として5ナンバーを堅持してきた3代目までに対し、4代目では欧米市場を意識した3ナンバーへと移行。それに伴いプラットフォームを刷新したボディは、ホイールベースも拡大することで高い安定感とグッドプロポーションを獲得しました。

 商品コンセプトは「走りと機能と美しさの融合」。自ら美しさを語るように、翼をモチーフとしたメッキパーツを取り込む六角形グリルと、鷹の目のように鋭いヘッドライトによるフロント部はじつに整然とした表情に。

 この「顔」は、アルファロメオのGTVなどを手掛けた名デザイナー、エンリコ・フミア氏の提案ともいわれますが、とにかく各パーツのバランス感が絶妙ですし、左右を強く絞ったことによる凝縮感も大きな特徴でしょう。

 続いてボディ側面を見ると、フロントからリヤへ流れるシャープなショルダーラインが見どころ。これはボンネットフード上の鋭いラインも同じで、ボディ全体に非常に高い硬質感を生み出しています。

 スバル特有のサッシュレスドアは開放的なグラスエリアを実現していて、とくにワゴンではリヤまで抜けたウインドウ部が美点。セダンもキャビンの広さを感じさせますが、リヤクオーター部を骨太にすることで、あたかもドイツ車のような重厚さも併せもちます。

●いずれも秀作揃いだった初期シリーズ

 ワゴンのリヤは、サイドに回り込んだ立体的な逆三角形のテールランプが特徴的。ボディ形状に沿わせることで強いカタマリ感を生んでいます。一方、セダンのテールランプはリヤスポイラーの形状に合わせるような凹面になっており、こちらもリヤパネルとの強い一体感が。

 インテリアも、3ナンバーらしく開放的かつ鷹揚な造形となりました。ただし、決して大味ではなく、いい意味での日本車的な緻密さも残している点がキモです。

 さて、いまさらですが、レガシィはあのジウジアーロの助言があったという初代はもちろん、オリビエ・ブーレイが手掛けた2代目の繊細さも優れていたし、3代目の骨太で落ちついたたたずまいも捨てがたいところです。

 そのなかで今回あえて4代目をベストにしたのは、前述のとおり強いカタマリ感を筆頭とした全体のまとまりのよさが大きな理由ですが、それでも4代続けて秀作デザインを送り出したことは大いに評価されるべきでしょう。

 まあ、逆にいえば5代目以降はどうしちゃったの? という疑問も残るのですが……。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

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