この記事をまとめると
■農道の管轄は農林水産省になっている
■ガソリン税が道路特定財源とされてきた時代につくられた農道を「農免農道」と呼ぶ
■道路特定財源は民主党が政権を握った際の事業仕分けによって廃止され消滅した
農免農道って普通の農道となにが違う?
農道には、いろいろ種類があり、農免農道と呼ぶものがあるという。
農道とは、農業のために使う道路を指す。これは、土地改良法にしたがって整備される。そのため、管轄するのは主に農林水産省になる。土地改良法とは、耕作地の改良のほか、耕作に必要な事柄を含むため、農業のための道路整備もかかわるわけだ。
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そうした背景から、基本的に農道は、農業を行うために必要なものの搬入や、作物の集荷、出荷などの利用を目的とするが、運搬などのために一般のクルマやトラックなども通行するため、道路整備が進められ、信号やガードレールなどが設置される場合もある。
ただ、耕運機やトラクターなど低速で走る車両もあるため、安全走行を喚起する標識が設置されるのを見かけることがある。
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一般の公道とは管理も用途も異なる農道のなかで、農免農道と名付けられているのは、かつて揮発油税(ガソリン税)が道路特定財源とされてきた時代に作られた農道を指す。
農業や漁業で使う機器のエンジンで必要なガソリンは、仕事をするうえで不可欠な燃料であるため、揮発油税の免税措置を望む声があった。しかし現実には、ガソリン販売の場で、農業漁業用として使うのか、乗用などで使うのか、区別を明確に行うのは難しい。
そこで、ガソリン販売での免税措置を行わないかわりに、減税分に相当する金額で農道を整備することを行い、これを農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業として実施した。この正式名を短縮したのが、農免農道である。
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道路特定財源は、民主党が政権を握った際の事業仕分けによって廃止され、一般財源化されたことによりなくなった。道路特定財源を使った農免農道も、以後は整備されなくなっている。
道路特定財源は、無駄に高速道路などが整備される原資とみなされ一般財源化した。だが、揮発油税は、ガソリンを使うクルマで道路を利用する人だけが払う税であり、それが一般に広く利用されることへの不公平が生じることにもなった。
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自動車の保有台数が広がることで、道路特定財源の原資が増加し、それに対し、年度予算の考えから1年で使い切る必要があり、無駄と思われる道路がつくられた背景の根本は、税制の不都合であったはずだ。税の無駄遣いは厳しく監視する必要はあるものの、所得税や消費税のように、広く一般に徴収される税とは異なる税体系であるのが道路特定財源となってきた揮発油税であり、税制の抜本的な見直しにより、税金の徴収と使い道の公平性が保たれることが本筋だろう。
道路はさまざまな人が使う公共施設であるから、利用するすべての人から税を徴収し、整備し、保守する策を考えるべきではないか。