この記事をまとめると
■サーキットを走行するとタイヤカスが大量に発生する
■F1では1スティントあたりタイヤ1本で1.5kgも出るといわれている
■タイヤカスは回収後にリサイクルや燃料として再利用されている
レース後のタイヤカスはどこに行く?
消しゴムで文字を消すと、消しカスが出るように、タイヤもグリップを発揮するとタイヤカスが発生する。とくに高負荷、高荷重で酷使されるサーキット走行では、大量のタイヤカスが出て、レコードライン以外のコース上やコース脇は、マーブル(タイヤカス)が山積みになっていることが珍しくない。
たとえば、F1の新品タイヤの重さは8.5kgほどなのに、1スティント走ると1.5kgも摩耗するといわれていたことがある。この摩耗した1.5kgのゴムは、コース上にタイヤカスとして散らばっているわけで、F1をはじめ大きなレースが終わった後に出るタイヤカスの量は半端ではないのだ。
F1のスタート直後の様子画像はこちら
タイヤカスは、サーキットだけでなく、一般道や高速道路でも発生するが、これらのタイヤカスはマイクロプラスチック化するとされ、社会問題にもなっている。
そうしたなか、各サーキットでも企業としてSDGsへの取り組みを進めているところなので、コース上に散らばったタイヤカスはそのままにせず、ロードスイーパー(路面清掃車)で定期的に清掃、回収しているところが多い。
鈴鹿サーキットのロードスイーパー(路面清掃車)画像はこちら
ロードスイーパーで回収したタイヤカスは、埋め立て処分などにするのではなく、リサイクル施設にもち込まれ、チップ化や粉末化してゴムシートや歩道舗装材、建材などにリサイクルされるか、セメント工場・製鐵工場・製紙工場などの高炉・ボイラーで、燃焼材・補助燃料として利用されているそうだ。
また最近は、いつまでもモータースポーツが楽しめる環境を保てるように、ゴミの持ち帰りを利用者にお願いしたり、パドックゴミの排出量削減および分別に積極的なサーキットも増えている。
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鈴鹿サーキットなどは、大会によってはパドック内に資源分別センターを設置するほどだし、タイヤメーカーもマーブルの量を減らすことを研究している最中なので、今後タイヤカス問題もより真剣に取り組んでいくことになるだろう。