100年前のフォードがモチーフ! 学生の手で作り上げたクラシックカーの中身はジムニーだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■大阪オートメッセ2025で日本工科大学校は「クラシック デリバリー TypeA」を展示

■モチーフとなったのは1920〜30年代のフォードの名車モデルA

■車検を取得するための資金をクラウドファンディングで調達している

ベースモデルはまさかのジムニーシエラ

■アルミ板からなめらかな曲面ボディを作り出す職人が製作バックアップ

 この車両の製作にあたっては、愛知のアートレーシングというカスタムショップの代表である村手さんの監修が活きています。村手さんはアルミの板からボディの曲面を作り出すボディメイクの世界の第一人者です。

 この日本工科大学校校とアートレーシング代表の村手さんとのつながりは、学校の講師を務める松田さんが若いころにその作品に出会って感動したことがきっかけだったそうです。その後日本工科大学校の講師になった松田さんが、「授業でボディのカスタムを扱うなら、最高レベルの技術を学ばせてあげたい」と考え、ダメ元で村手さんにオファーを送りました。その誘いを村手さんが受諾してくれたことで、普通のカリキュラムではお目にかかれないような濃い授業が実現したそうです。

 そして、その授業で得たノウハウをフルに使って、今年卒業する生徒たちが自分の力で、渾身の作品を仕上げました。

■お父さんの遺言を実行すべくジムニーに想いを込めた!

 この「クラシック デリバリー TypeA」は、現行のジムニー・シエラがベースとなっています。何も情報がないまま見れば、「人気の高いジムニーを選んだんだな」と思う人も少なくないと思いますが、この卒業制作にジムニーが選ばれた理由は、そんなひと言で切り捨てられないくらいの想いの深さが潜んでいました。

 企画のキーになったのは制作メンバーのひとりの想いでした。その生徒にはクルマ好きの父がいました。幼少期からクルマについてのいろんなことを教えてもらったり、ちょくちょく愛車のジムニーに乗っけてもらったりしていたそうです。そうして「いつか自分もかっこいいジムニーに乗りたい」と思うようになりましたが、悲しいことに、大好きな父は他界してしまいました。自分の力で手に入れたジムニーに乗る姿を見せることは叶わなくなってしまったのです。

 ジムニーが好きだった父の想いを自分の手でカタチにしたいと考えるようになり、必ずそのジムニーを作りあげると決意したそうです。そうして今回の卒業制作の機会がやってきたとき、是非これをやりたいとメンバーに提案しました。はたして、こうして立派にカスタムのジムニーが完成しました。きっと天国のお父さんはニッコリと微笑んでくれているのではないでしょうか。

■製作のモチーフは「フォード・モデルA」

 この車両は、今年卒業する「カスタム自動車工学科」の3年生2名が主導ですべての作業をおこない、「車体自動車工学科」の2年生3名がヘルプに付いて進められたそうです。製作期間は実質4カ月とのこと。

 製作の予算は限られるため、まず車両の調達から始めたそうです。車種はジムニーと決まったので、自分たちで地元のディーラーなどに働きかけて車両の提供を募りました。

 カスタムのイメージは、1920年代に大ヒットした「フォード・モデルA」です。ジムニーをベースにして、どれだけイメージを変えられるかという狙いで選ばれました。完成のイメージは、まず生徒たちが出し合ったアイディアをスケッチにしてもち寄り、製作の知見が豊富な村手さんが、実現可能な形状にまとめたそうです。

 この車両は、企画段階から車検を取得して運用する計画があったそうで、バンタイプにしたのはそのためです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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