ホンダと日産の経営統合破談! そもそも「ホンダにあって日産にないもの」「日産にあってホンダにないもの」って何があった? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日産とホンダの経営統合は正式に破談となった

■ホンダはハイブリッドが強みで日産はEV技術が自慢だ

■技術面や販売面で業務提携をするメリットは大きい

経営統合は幻に

 日産の業績悪化を発端に、日産とホンダが経営統合する話がもち上がった。当初は両社で共同の持株会社を設立して、ホンダと日産をその子会社にする案があった。しかしその後、ホンダを親会社、日産を子会社にする案がホンダから示され、日産は対等な立場を重視したから経営統合は破談した。

 消費者の立場で見ると、もともと日産は商品開発の甘さが目立った。当初の日産は電気自動車に力を入れたが、現実的にはハイブリッドも求められた。そこで電気自動車のユニットを使って、少ないコストと短い時間でシンプルなハイブリッドであるe-POWERを開発した。

 e-POWERはいわば間に合わせのシステムだから、1.2リッターエンジンを使うタイプは、ブレーキペダルと回生機能を協調させていない。Dレンジのノーマルモードで走り、ブレーキペダルを踏むと、燃料消費量を効果的に減らせない。なので恩恵を受けるには、エコ/スポーツモードを使うなど、アクセルペダルを戻すと同時に、協調による強い減速力が生じるモードにしておく必要がある。

 また、e-POWERは、ホンダのe:HEVなどと違って、高速走行でエンジンがホイールを直接駆動して燃費を向上させる制御も行えない。そのために、高速巡航時の燃費を向上できず、直線かつ高速域での移動が多い北米には、ノーマルガソリンエンジン搭載車を投入していた。

 このように、e-POWERは機能に不満があるため、日産は高効率なハイブリッドを急いで開発すべきだったが、日本国内ではe-POWERが予想以上の人気を得た。事実、2018年には、e-POWERを搭載するノートが小型/普通車の国内販売1位になっている。この事情もあって日産は、e-POWERよりも進歩したハイブリッドを開発せず、そのほかの強い魅力も表現できず、業績を悪化させた。

 つまり、日産とホンダの違いは、大急ぎで開発されたシンプルなe-POWERと、高機能なe:HEVの差に置き換えられる。この状況では、ホンダが日産の上位に立ちたいと考えたことも理解できる。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
-

新着情報