この記事をまとめると
■中古車の価格表示は支払総額表示が義務づけられているためほぼ表示金額での購入が可能
■一桁万円で販売されている「桁車」は売ってもほとんど儲からない
■激安車は値段なりであることが多いので購入後に点検整備を行うのが安心だ
売れても販売利益は非常に少額な「桁車」
中古車情報サイトなどをチェックし、「安い順」にして並べると意外と見つけることができる桁車たち。桁車とは一桁万円で販売されている車両のことを指しており、簡単にいえば10万円以下のプライスが付けられた中古車のことである。
ひと昔前では車両本体価格を非常に安いものにして、実際に車両を購入しようと店舗に出向くと、非常に高い諸経費を上乗せされたり、有償オプションを付けないと売れないといわれたりとよろしくない売り方をしていた中古車店も存在していた。
しかし2023年10月1日より、中古車情報サイトや店頭のプライスボードなどに掲示される金額を「支払総額」とすることが、自動車公正競争規約・同施行規則の改正で義務化とされたことで、こういった「釣り価格」の車両はグッと減っている。
つまり、一桁万円で掲載されている中古車の多くは、実際にその金額で購入することができるものとなっているのだ(遠方のナンバー変更や納車費用は別途)。
では、このような桁車の売買は、販売店としては儲かるのかどうかだが、ハッキリいって「儲からない」というのが正直なところだろう。そもそも桁車ということは、仕入れや点検などの費用が一切発生していなかったとしても、最大の利益は10万円以下となる。
高額な車両であれば、1台の販売利益が数百万円にもなるといわれることを考えると、非常に少額といわざるを得ないだろう。
そのため、桁車に限らず格安車をメインに販売しているところは薄利多売をモットーとしており、固定費の安い郊外の土地で最小限の人員で運営していることが多いのだ。
このように、利幅の少ない桁車はそのお店の下取り車であることがほとんどで、過走行だったり、不人気車種だったり、キズが多かったりで下取り価格もほぼ付けられず、市場価値はほとんどないけれど、車検残もあるし、機関も不具合がないような車両が選ばれる。売れればラッキーだし、最悪売れなくても資源としてリサイクル業者に出せば数万円にはなるためだ。
ちなみにこういった桁車の多くが車検残のある軽自動車であるのは、車検が残っていれば車検取得にかかる費用が不要で、軽自動車であれば名義変更でも書類とナンバーがあれば可能(車両をもち込む必要がない)かつ、名義変更時に軽自動車税を月割りで支払う必要もないため、諸費用をかなり圧縮できるからである。
なお、こういった激安車は店側もある程度は売っても大丈夫だろうと判断ができる車両が並ぶことが多いが、あくまで値段なりであることがほとんどであるので、安心して乗りたいのであれば購入後にはそれなりの予算をかけて点検整備をしたほうがいいだろう。