この記事をまとめると
■東京オートサロンに静岡工科自動車大学校が出展
■三菱の軽EVを「モンスター EK X」と名付け展示
■リフトアップしただけでなくボディを作り直すなど徹底的に手が入っている
eKクロスEVを学生たちが魔改造!
今年も年始早々に、日本最大のカスタムカーの祭典「東京オートサロン」が開催されました。
大規模な自動車メーカーのブースや、華やかなカスタムメーカーのブースが並ぶ中、全国の自動車大学校の学生によるカスタム車両の展示も来場者の注目を集めていました。
ここでは、年々その割合を増やす自動車大学校の展示のなかから、コンパクトカー部門の最優秀賞を受賞した「静岡工科自動車大学校」の「モンスターEK X」を紹介していきましょう。
■当校では初めてとなるEVのカスタムにチャレンジ
この「モンスター EK X」と名付けられたカスタム車両は、三菱の軽規格EVである「eKクロス EV」をベースに製作されたものです。
製作にあたったのは、「静岡工科自動車大学校」の3年生12人のチームです。
始めにアイディア出しをおこない、そのなかから選ばれたアイディアの発案者をリーダーに据え、3つのチームにわけて分担しながら仕上げていったとのこと。学校の先生が補佐に付きますが、基本的に作業はすべて生徒のみでおこなったそうです。
「静岡工科自動車大学校」の卒業制作ではこれまでEVを扱ってきませんでしたが、三菱からの車両提供を受けて、初めてのEVカスタムにチャレンジしました。
製作にあたってのコンセプトは、「EVからどれだけイメージを変えられるか」という点で、大胆さをアピールするために、アメリカのモンスタートラックのイメージをフィーチャーしたとのこと。
実際にこの車両を初めて目にしたときは、とてもベース車がEVだとは思えませんでした。
■圧巻の20インチ・リフトアップ!
なんといっても最大のポイントはその車高でしょう。じつに20インチ=50.8cmも車高がアップされているそうです。
その内訳は、ボディを持ち上げた分が300mm、サスペンションの延長と大径タイヤで200mm、合計で約500mmとなっています。
本格的なオフロード車のリフトアップの場合は、地上からの高さを確保するためにサスアームやショックアブソーバーの延長をおこないますが、この車両はあくまでも外観イメージの提案が狙いのため、それとは異なるアプローチでリフトアップしているのが面白いポイントでしょう。
それがボディを大胆に300mmもち上げるというやり方です。
ベースの「eKクロス EV」はFF方式のEVなので、フロントタイヤの間に動力源のモーターと変速機が合わさったユニットが搭載されています。
その駆動レイアウトはそのままに、ボディをもち上げた……というより、モーターと変速機のユニットとサスペンションまわりをごっそり、ボディから30mm下方に吊り下げたというほうがしっくり来ます。
要するに、ボディを動力と足まわりから分離して、その間にパイプなどで製作した高さ30mmの骨組みを挟み込んだということです。
エンジンルームをのぞき込んで見ると、モーターのユニットがかなり下方にあり、真ん中にぽっかり空間ができています。
また、モーターユニットがバッテリーから遠ざかることで配線や冷却水の配管が届かなくなってしまうので、新たに延長のケーブルやパイプを製作して対処しているとのこと。
こういう部分がEVカスタムならではのポイントでしょう。
さすがに公道の走行は考慮されていませんが、ステアリング系なども作動するようになっていて、実走は可能となっているそうです。