冬の北海道じゃタクシーもバスも軽自動車の女性も「ドリフト」「カウンター」当たり前! レーシングドライバーが語る「雪上走行」の重要性とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■滑りやすい路面はクルマのコントロールテクニックを磨くのに都合がいい

■低ミュー路はドリフトやカウンターステアなどのスキッドコントロール技術を磨くのに適している

■欧州では冬季になるとアイストレーニングを開催する自動車メーカーも多い

雪が降ると喜んでクルマを走らせていた

 降雪があると路面が滑りやすくなり、クルマの運転には細心の注意が必要になる。一方で、滑りやすい路面はタイヤグリップ限界が低く、クルマのコントロールテクニックを磨くには都合がいい。

 ドライバートレーニングとして、特設コースやスキッドパッドにおいて散水してミューを下げ、滑りやすい路面を意図してコース整備することもある。ミューが下がると、低速でもスリップしやすくなるので、ドリフトやスライドを引き起こしやすく、それをカウンターステア操作やアクセルワークで姿勢制御するのだが、挙動がスローモーションで対処しやすい。

 かつて(45年以上昔の話だが)は雪が降ると、犬が喜んで庭を駆けまわるように、クルマを走らせていたものだ。当時はまだスタッドレスレスタイヤがなく、降雪時でもクルマを走らせる場合はタイヤチェーンを装着するのが市街地でも当たり前。そこまでしてクルマで出かける人は少なかった。

 しかし、現代はそういうわけにはいかない。スタッドレスタイヤの普及が進み、性能も向上。4WDモデルも多く、積雪した道でも普通に走れてしまう。グリップ限界が乾燥舗装路より低いのは変わりないが、制限速度を守り、電子制御に頼っていれば、特別な運転技術は必要としないだろう。そんななかで、たとえ速度が制限速度以内だとしても、クルマをスライドさせたりドリフトさせたりして楽しむなんていうのは御法度だ。これは絶対にやめてほしい。

 逆にサーキットやジムカーナ場など、積雪で走行が難しい状態になってしまったら、チャンスとばかりに安く借りてトレーニングするのはお勧めだ。散水するより遥かに低ミューで滑りやすく、アンダー/オーバーステア、ドリフト、カウンターステアなどスキッドコントロールのスキルを高めるのに適しているといえる。

 冬季に北海道へ出向くと、市街地の交差点でもドリフトしてカウンターを当てながら走るタクシーやバス、軽自動車の女性ドライバーなどが普通に見られる。毎年積雪道路を走ってきた経験から、雪道ドライビングのスキルが自然と身につき、こうした光景が散見されるようになるっているのだ。そうした地域に、非降雪地帯のドライバーが出かけて行って運転したら、おそらく流れに乗るのもおぼつかないだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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