一時期「稼げない仕事」だったタクシー運転士がアプリ登場で「稼げる仕事」へ! ただし忙しさはハンパない!!

この記事をまとめると

■アプリ配車サービスの普及によりタクシー運転手は以前よりも稼ぎやすくなった

■タクシー運転手のゴールデンタイムは深夜から朝の通勤時間帯に変わった

■「思っていたより忙しすぎる」として離職する若手運転士も出てきている

いまのタクシー運転手は稼げる……が忙しすぎる

「タクシー運転士の稼ぎがいい」ということをよく耳にするようになった。とはいっても、全国的に見れば稼げる地域は限定的であり、さらに稼げる地域内でも事業者や運転士個々で状況は異なってくる。ただ、少なくともアプリ配車の普及などにより、キャリアをそれほど積まなくとも「稼ぎやすくなった」ことは間違いない。

 コロナ禍前の8割まで稼働状況が戻ってきているものの、それでも完全に戻っているわけではない。アプリ配車サービスに加盟していればそれこそ、朝の通勤時間帯などの繁忙時間帯を中心に、まさに「切れ目なく」実車(利用客)運行が続くといったこともけっしていい過ぎではない状況となっている。

 コロナ禍前のタクシー運転士といえば(隔日勤務として連続20時間ほど乗務の場合)、「ゴールデンタイム」と呼ばれる、深夜割増料金実施時間にどれだけ売り上げを積み上げるかが、その出番での稼ぎを大きく左右していた。しかし、コロナ禍後のいまでは働き方改革も手伝い、夜の街はコロナ禍前の賑やかさを取り戻していない。もちろん、終電を無視してタクシーにて、たとえば東京都心から千葉や神奈川、埼玉などへの長距離利用客(ロング客)もなかなか期待できなくなっている。

 そんな従来の稼ぎ方を一変させたのがアプリ配車サービスである。サービス導入後は朝の通勤時間帯がいわゆる「ゴールデンタイム」となった。とくにいままで電話などで配車要請して、呼び寄せたタクシーに乗るといったことより、道端で手を挙げて空車のタクシーに乗ることの多かった東京23区内などでは、アプリで気軽にタクシーを呼べるとして、スマホ配車利用が爆発的に増えていった。

 クレジットカード決済ができるようになって久しいが、いまでもカード決済に意外なほど時間がかかっているのだが、スマホ配車ならば事前登録したキャッシュレス決済で目的地到着後すぐに決済できる利便性の高さも手伝っているようだ。

 そのため、最近では午後3時ごろ車庫を出て、翌朝お昼近くに車庫に戻るというシフトがメインとなり、午前7時から10時ぐらいの間の稼働台数に厚みを持たせるための補完シフトも用意されるようになっている。ただし、一晩運転して車庫に戻る数時間前が稼ぎどきとなるので、体力的な部分も考慮し「おいしいシフト」には若手が抜擢されることも多いようである。

「稼げる仕事」となってきているタクシー運転士なのだが、「稼げるのがうれしい」と喜ぶ運転士ばかりではないのがいまどきのタクシー業界。車庫を出れば「一匹狼」となり、一般的な会社仕事のような煩わしい人間関係からも縁遠く、自分のペースで仕事ができることに若い世代ほど好感を持ってタクシー運転士となる傾向が強いと聞く。しかし、いざ運転士になってみると、ガンガン入るアプリによる配車要請をこなしながら、流し営業(道端で手を挙げたひとを乗せる営業)もこなさなければならない。

 また、いまにはじまったことではないが、回送表示にして路上駐車可能な場所にタクシーを停めて休息をとっていても、窓ガラスをノックされて「乗せてほしい」といわれることもたびたびある。現状ではタイミングを逃すとトイレに行く時間すら確保できないといったことも冗談ではなくありえる話とされている。

 そのような現状に「思っていたより忙しすぎる」として離職する若手運転士も出てきていると聞く。

 かつては「稼げる仕事」としてタクシー運転士を志す人が多かったが、そのあと街にタクシーが溢れ「稼げない仕事」の代表的な仕事になったものの、再び稼げる仕事となったのだが、今度は「忙しすぎる」として離職する人も出てきている。働くことへの価値観の変化が、今後は働き手不足の新たな要因として加わっていくかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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