FRから始まりMRもあったがいまはRRが主流! バスの進化「今後」はどうなる?

この記事をまとめると

■現在はほとんどのバスがリヤエンジンレイアウトを採用している

■かつてはFRレイアウトのボンネットバスが基本という時代もあった

■リヤエンジンレイアウトが主流になるまでのバスの歴史を解説

FRから始まったバスの歴史

 いまやバスはリヤエンジンレイアウトが常識だが、最初からRRが一般的だったわけではない。日本で一番最初のバスは、戦前にいすゞがトラックのシャシーを使って客室を作り、乗客を運ぶクルマに仕立てたものだった。それ以前は米国車のトラックを日本でバスに架装していたらしい。そこからバス専用のシャシーが作られるようになって、乗り心地や走行性能が改善されていくのだ。

 したがって、バスの歴史は長らく、フロアは高くフロントにエンジンがあるFRのボンネットバスが基本だったのだ。その後、より多くの乗客が運べるように客室部分を独立させたセミトレーラー型のバスも登場するが、市街地では使い勝手が悪く、高速バスなどで利用されるだけで姿を消したようだ。

 やがて、ボンネットのスペースも有効利用しようとキャブオーバー型のバスが出現する。当初のキャブオーバーはフロントにエンジンを残したままボディをキャブオーバー(つまりワンボックス)にしたもので、運転席の横は盛り上がっており、デッドスペースの問題は完全に解決したわけではなかった。

 マイクロバスはこのキャブオーバー型が主流で、リヤエンジン車も登場したが、フロントにエンジンを残したままの車種も多かった。マイクロバスの場合、乗降口がひとつで運転席にはドアが設けられたから、助手席側を潰してエンジンを搭載することもできたのだ。

 大型バスは1960年代になって路線バスと高速バスで進化の方向性がわかれていく。高速バスはエンジンを車体中央、リヤタイヤの前方に配置した車両も登場する。これは乗用車でいうミッドシップ型で、重量物であるエンジンを前後輪の間に入れることで走行時の安定性を高めることができた。だが、これはメンテナンス性が悪いのと、当時は冷却性能も確保することが難しかったため、リヤエンジンへと集約していくことになる。

 現在のリヤエンジンになってからすでに半世紀近いが、エンジンの進化だけでなく車体も進化しており、昔といまでは高速道路での乗員の快適性は雲泥の差がある(バスの架装メーカーにもよるが)。

 路線バスはボンネット型が長く続けられ、ワンマン化が進むにつれて、リヤエンジンのワンボックス型が採用されていくのだ。ちなみに戦前は路線のある道路に架線を張り巡らせて電気で走らせるトロリーバスが主流になった地域もあった。さらに、鉛バッテリーの電気バスも戦前戦中は利用されていた。石油を輸入に頼っている我が国では、戦時中には軍用に物資の利用が優先されたので、民間は限られた物資でやりくりする必要があったのだ。

 今後は電動化により、さまざまなシステムのバスが登場する可能性がある。モーターは小型で力があるので、レイアウトの自由度は広がる。そういった意味での最新バスは、水素を燃料電池で使用するFCEVのトヨタSORAだろう。BYDのEVバスも日本でシェアを伸ばしているが、高度なシステムや信頼性、品質では日本メーカーのほうが上だ。

 今後の数年間で中国バスの品質が証明されるか、日本製のコストダウンが進むのか、注目していきたい。


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