この記事をまとめると
■スズキ・ジムニーの5ドアモデルの日本での発売に期待が高まっている
■長いジムニーの歴史を振り返ると過去にもロングバージョンがいくつも存在した
■ピックアップやロングボディのバンやハイルーフなどそのバリエーションは豊富だった
かつて国内外で存在したロングボディのジムニー
待望のジムニー5ドアがインドでデビューしてもうすぐ2年。確定情報ではないけれど、日本でもいよいよ発売という噂も出始めている。5ドアはホイールベースや全長も伸ばしているので、軽自動車枠には収まらない。でも、最新データによると、我が国の軽ジムニーとシエラの販売台数はさほど変わらないとのこと。ジムニー=軽自動車というイメージが薄れてきているのかもしれない。
それに歴史を振り返れば、過去にも軽自動車枠に収まらない「長いジムニー」はあった。2代目の登録車仕様、ジムニー1000ベースにしたピックアップだ。ドアまではバン(当時は5ナンバー登録のワゴンはなかった)と共通で、その後方を荷台としたものだが、そのままでは荷台の長さが不足するために、ホイールベースを伸ばしていた。
残念ながら日本では300台ぐらいしか売れなかったので、我が国でのジムニー・ピックアップはこの代限りになっているが、海外向けでは初代からピックアップは存在しており、2代目ではロングホイールベースのバンもあった。
スズキ最大のマーケットであるインドで作られたジプシーはそのひとつ。ちょうどシトロエン2CVやルノー4のフルゴネットのようなハイルーフのバンで、全長はほぼ4mに達していた。オープンボディもあり、バンのリヤシートが前向きだったのに対し、こちらは横向きで向かい合わせに座るタイプだったようだ。
ちなみに同じころ、国内向けにも、ボディの全長はそのままだったが、左右に明かり窓をつけたハイルーフのパノラミックルーフが、軽ジムニーと1000の進化版である1300に追加された。
タイにはカリビアンという車種もあった。こちらもロングホイールベースで、バンとピックアップのほか、2019年の東京オートサロンに出展された現行ジムニーシエラのピックアップコンセプトのように、キャビンの前後長に余裕をもたせ、その後方に短い荷台を設けたタイプもあった。
ヨーロッパではスペインのサンタナというメーカーが、ランドローバー・ディフェンダーとともに、ジムニーのライセンス生産を行っており、やはりロングホイールベースのバンがあった。車名は北米向けジムニーにも使われたサムライだった。
さらに、いかにもヨーロッパらしいと思わせるのが、ディーゼルエンジンの設定があったこと。といってもエスクードに積まれたマツダ製ではなく、現地でプジョーやルノーのエンジンを調達して載せていた。
2代目ジムニーは、日本仕様は最終型で、それまでリーフスプリングだった前後のリジッドアクスルサスペンションをコイルスプリングに替えたが、海外では信頼性や耐久性に優れるリーフリジッドのまま作り続けられた。
とりわけジプシーは多くのユーザーに親しまれ、2019年まで作り続けられたという。5ドアがインドでまず生まれたのは、ジプシーの後継という意味もあったからではないかと考えている。