この記事をまとめると
■車高の低いクルマにとって車道と歩道の段差は悩みのタネだ
■車道と歩道の段差にはさまざまな役割がある
■「バリアフリー法」の改正により段差は徐々に低くなっている
歩道の段差にはさまざまな役割がある
スポーツカーなど車高の低いクルマに乗る人にとっては、車道と歩道の間にある段差は悩みのタネではないでしょうか。コンビニなどに入る場合も、慎重にゆっくりと進入しないとバンパーや下まわりをガリッと擦ってしまう可能性があります。なかには、縁石の切り下げ工事をしっかりと行って車高の低いクルマでも入りやすくしているお店などもありますが、段差が0になることはまずないというのが現状です。
なぜ段差はなくならないのかというと、れっきとした目的があるからです。まず、車道よりも歩道を高くすることによって、クルマが進行方向を誤って歩道へ逸脱してしまうことを防いでいます。また、雨水が歩道や住居内へ侵入することを防いでくれます。さらに、視覚障害者などが歩道と車道を識別するためにも段差が役立っているのです。
そのため、この段差は、車両と歩行者との双方の安全性を高めるために存在しており、従来は主にマウントアップ形式といって、高さ15cm以上の段差が採用されてきた経緯があります。
コンビニなどの駐車場は、お客さんのクルマが入りやすいようにその段差を切り下げる工事を行うことが多いのですが、これには道路を管理している自治体などの許可が必要となり、同時に道路の下に埋まっている電気、ガス、水道、電話会社などとの協議も必要となります。その際に、ガス管などを破損してしまうことがないよう、またクルマが出入りするようになることで悪影響が出ないよう、どのくらいの高さまで下げられるのかなど、求められる要件が変わってくることがあります。
また、縁石を切り下げることによって歩道の上をクルマが通行できるようにするわけなので、アスファルトの下の基礎構造に相応の強度をもたせる補強作業も必要となってきます。こうしたさまざまな要素によって工事が進められるため、周辺環境や条件によっては、スポーツカーだと擦ってしまいそうな高さの段差が存在するというわけです。