この記事をまとめると
■アメリカ仕様のクルマを日本で乗るためにはいくつかの障壁が存在する
■ハンドル位置の違いやメーターの単位の違いは脳内で変換しなければならない
■灯火類も違うためそのままでは車検にとおらない
逆輸入日本車の専門店もあるほど人気は高い
世界最大の自動車大国としても知られるアメリカ。そんなアメリカには独自の自動車文化が根付いており、日本のメーカーの車両であっても日本では販売されていないモデルがラインアップされていたり、日本に存在しているモデルでも細かな意匠やパワートレインに違いがあったり、日本で見かけるものとは異なる独特の雰囲気を纏っているものが多い。
そんな部分に魅力を感じる人は一定数おり、日本へわざわざ並行輸入をしてアメリカ仕様のモデルを販売している専門店も存在しているほど。
ただ、そういったモデルを「目立ちたいから」というようなぼんやりとした目的だけで購入すると、かなりの不便を強いられることも少なくない。
まず、いうまでもなくアメリカ向けの車両であるため、ハンドル位置は左となる。これについては運転していくうちに慣れていく部分ではあるが、左側通行の日本においては、交差点での右折時や、乗降中の路線バスなどをパスしようとしたときなど、対向車の動きが見づらくなるケースが少なくなく、対向車が完全に途切れるまで、そしてバスが出発するまで待つ必要があるシーンが増えてくる。
またさまざまな単位も日本とは異なっており、速度や走行距離はマイルとなり、オートエアコンや外気温の表示も華氏となるため、こちらも脳内での変換が必要となるだろう。
そして、もっとも大きな違いが灯火類で、右側通行用に作られたヘッドライトでは日本仕様とは光軸が逆となるため、そのままでは車検をパスできないどころか対向車を幻惑する恐れもある。このあたりは調整やバルブ交換、ライトの加工などで改善できる車種もあれば難しい車種もあり、右ハンドル仕様がある車種であればヘッドライトユニットごと交換してなんとか……という状況にもなりかねない。
それ以外の細かな部分では、当然ナビやラジオなどは日本では使えないし、取説などもすべて英語。メンテナンスもディーラーでの作業は基本的に断られると思っていいだろう。
そして、部品も日本で入手できるものであればいいが、車種専用品や海外専用品であればアメリカから輸入しなければならないケースが多く、円安の折では部品代と運賃でかなりの額になることを覚悟しなければならないのだ。
もちろん好きで乗るのであれば、これらのネガティブファクターも織り込み済みであると思うが、軽い気もちで手を出すと早々に手詰まりになってしまう可能性もあることだけは肝に銘じて置きたいところである。