この記事をまとめると
■ホンダには「HRC」と呼ばれるモータースポーツ専門の会社が存在する
■元は二輪分野専門として1982年に誕生した
■2022年にホンダの四輪部門のHRDと統合され新たなHRCとして再スタートした
HRCってどんな組織?
1964年のF1初参戦より、60周年を迎えたホンダは、2026年のF1復帰に向けて今年2月、イギリスに「HRC UK」を設立した。このHRC UKは、ヨーロッパの拠点としてメンテナンス作業やオペレーションなどを行う予定で、パワーユニットの開発に関してはあくまでも日本のHRCで行われるようだが、そもそもHRCとはどのような存在なのだろうか?
ホンダおよびレースファンの方はご存じのことだと思うが、HRCとは1982年に埼玉県朝霞市に設立された「ホンダ・レーシング」の略称で、文字どおり、ホンダのモータースポーツ専門会社として二輪競技におけるレース活動を展開。ワークスチームの運営やレーシングマシンの開発を実施するほか、セミワークスともいえるサテライトチームをサポートすることで数多くの選手を育ててきた。
その後もHRCは進化を続けており、2022年にホンダの四輪モータースポーツの拠点として活動していたHRDと統合。以来、二輪部門は埼玉県朝霞市、四輪部門は2014年に栃木県さくら市にHRD Sakuraとして開設されたHRC Sakuraを拠点に行われてきたのだが、この四輪レースの活動の総本山とも呼べるHRC Sakuraは、まさにF1におけるパワーユニット開発の中枢となっており、最新設備のもとでスペシャリストが業務にあたっている。
2015年から2021年までの第4期F1参戦はもちろんのこと、現在もレッドブルレーシングおよびアルファタウリのチームパートナーとして技術支援を行っており、パワーユニットの製造やベンチを使用したさまざまなテスト、レース後のエンジンメンテナンスを実施。
さらにF1のレースウィークにはサーキットとネットワーク回線で繋がれた“ミッション・ルーム”に、専門のエンジニアたちが詰めており、リアルタイムでエネルギーマネジメントや温度、運動エネルギー回生のパワーアシストの状況など、さまざまなデータの監視および解析を行なっている。
その結果、栃木県にいながら、世界各地で争われているF1グランプリのさまざまな課題に対してフィードバックが可能で、現地にいるチームメンバーを戦略面でサポート。まさにHRC SakuraはF1活動における聖地と呼べる存在といえるだろう。
そのほか、HRC SakuraではF1のパワーユニットだけでなく、スーパーGTのGT500車両も開発を実施。エンジンはもちろん、車体の開発も手がけており、エアトンネルを使用した風洞テストで、エアロダイナミクスも煮詰められている。
このようにHRCはホンダのモータースポーツの象徴で、HRC Sakuraはホンダの四輪レース活動のコアとなっている。