この記事をまとめると
■トラックの大型化が進み街で目にするトレーラーの数が増えた
■トレーラーはトラクタを連結して商品を運搬する
■トレーラーとトラクタの連結部分の構造について解説
キングピンと呼ばれる太いピンが備わっている
トラックドライバー不足と物流の取扱量増加という問題を解決するため、トラックの大型化、大型トラックからトレーラーへと一台で運べる荷物が大きなトラックへのシフトが進んでいる。幹線道路では大型トラックよりトレーラーのほうが多く感じることもあるほどだ。そんなトレーラーは、トラクタとトレーラーを連結して走る。連結を切り離せばトレーラーごと付け替えできるので、中継地点までの運搬や積荷によって異なるボディの変更も自由自在であるのがメリットだ。
さらに、連結部分が折れ曲がることによって、大型トラックよりも小まわりが利くのもメリットだろう。ただし、曲がり方にはクセがあるので、運転操作はそれだけ難しい。とくに後退時には真っすぐバックさせるのすら困難だし、頭(トラクタ)を振って狙ったところにトレーラーを駐車させる姿は、素人が見ても惚れ惚れするほどだ。
そんなトレーラーとトラクタの連結部分はどうなっているか、ご存じだろうか。トレーラーにはキングピンと呼ばれる太いピンが備わっており、そのキングピンをトラクタ側のカプラと呼ばれる部品が咥え込むことで牽引して、折れ曲がるようにもなっているのだ。
カプラの固定方法は2種類、1軸と2軸があって、1軸はキングピンの固定に対して上下方向はある程度自由度があるのに対し、2軸は上下左右をガッチリと咥え込んで固定する。運ぶモノや道路などでどちらがいいか使い分けるのだ。メーカーは日本ではヨーストとソーシンの2社でほぼ独占している状態で、ヨーストはドイツ製でソーシンは日本製だ。
ジャパントラックショー2024では、横浜車輌工業がヨースト製のカプラのカットモデルを展示していた。さらに、ポスターで構造も説明していたから、これまで謎に包まれていた(?)カプラの仕組みが良く理解できたのである。
キングピンを咥え込んでロックするジョー(爪)は、大きなレバー型のハンドルによってロックされる。これはトラクタのドライバーが手動で操作し、ブレーキ用のエアホースや灯火類用のハーネスも接続することで走行が可能になるのだ。さらに、最近の仕様は3つのセンサーでトレーラーとの接続を常に検知しており、万全の信頼性を確保しているのだ。
しかし、手動でカプラをロックするハンドルを操作するのは、雨天時や降雪時などは大変そうだ。センサーでロック状態を検知するだけでなく、ロック操作も電動で車内からボタン操作で行えるようなカプラはないのだろうか。
そう思って横浜車輌工業の説明員に尋ねると、カプラはすべて手動の機械式となっているそうだ。それはドライバーが実際に操作することで作業を確実にすること優先しているのだ。
技術的には自動化が可能でも、センサーに頼ったシステムでは、センサーがエラーを発した時点でシステムが機能しなくなるか、信頼性が失われる。なんでもかんでも電子制御にした方がいい、ということはないのだということを、このカプラで改めて考えさせられたのであった。