タイヤのトラブルは命取り! だったらタイヤの声を聞けば? ダンロップが取り組む画期的技術「センシングコア」の実用化が待ち遠しい!

この記事をまとめると

■いまのタイヤは高性能なものがほとんどを占めている

■さらなる進化を目指した開発が日々行われている

■トラックの安全に寄与する「センシングコア」について解説

タイヤをセンサーとして利用!

 最近のタイヤは十分に進歩して、いまでは転がり抵抗やウエットグリップも高いエコタイヤが一般的になってきた。その一方で、街乗りからサーキット走行まで使えるタイヤは、セミレーシングタイヤ並みの性能を誇り、プレミアムコンフォートは驚くほど静かで乗り心地を向上させてくれる。正直いって、ラジアルタイヤではもう限界近くまで技術が成熟していると思っている人も多いのではないだろうか。

 タイヤメーカーとしては老舗中の老舗であるダンロップは、昨年のジャパンモビリティショー2023で、路面状況によってタイヤの表面ゴムの特性が変わる新技術、アクティブトレッドの概念を発表している。これは路面が濡れていると、その水分にゴムが反応して柔らかくなってウエットグリップが向上したり、低温下で路面とのμ(摩擦係数)が低くなるとやはりゴムを柔らかくして氷上性能を高めるという、なんとも不思議なゴムの制御技術。

 これも凄いが、もうひとつとくにトラックに役立ちそうな技術がある。それがセンシングコアだ。これはタイヤをセンサーとして利用するもので、ベースとなっているのは、タイヤの回転センサーを利用した空気圧監視システム。車輪それぞれの回転差から、回転数が高いタイヤ=空気圧が減少して実質的なタイヤ外径が小さくなっていると判断するのだ。

 パンクに早めに気付けるだけでなく、タイヤの空気圧が低いまま走行しているとバーストする危険性が高まるから、タイヤをモニタリングすることはすごく大切なのである。さらに回転のムラや車速信号(変速機内のセンサーから取得)との差、センサーやコンピュータの分解能を高めることで、タイヤの摩耗具合や荷重の変化などを推定することも可能になるようだ。

 すぐに実用化される技術ではないらしいが、これが実現可能となれば、トラックのタイヤ管理に大きく貢献できることになりそうだ。最近春先になると話題になるトラックの脱輪事故も、センシングコアを進化させることで防止することができるようになるらしい。厳密にいえばこれらはタイヤ自体が感じ取っているものではないし、タイヤに新たな機能を追加するものではなく、走行中のタイヤが発生するノイズのようなものを分析する技術。だが、新品のタイヤの状態を把握していないと判断できないので、タイヤメーカーしかできないことだといえるだろう。

 ジャパントラックショー2024では、そんなセンシングコアをイメージしたブースを展開。タイヤに関するさまざまな素材や技術を展示して、最新のタイヤ技術をアピールしていた。電子制御のサスペンションやオートワイパーなど路面や天候をセンシングする技術は、それぞれ開発され導入されているクルマもある。

 しかし、タイヤからの信号だけでいろいろな状況を分析し、ドライバーに伝えてくれるようになったら、いまよりももっと安全になることは間違いない。ぜひともダンロップをはじめとするタイヤメーカーのエンジニアの方々には、これからもタイヤとその周辺技術の進化を続けてほしいものだ。


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