この記事をまとめると
■最近のクルマはエンジンのシリンダー数を減らしてコンパクトにする傾向にある
■市販車の世界ではピストンが奇数になるエンジンは3気筒を除くとほとんど存在しない
■作動時のバランスや構造の問題で採用されていないのが実情だ
奇数のシリンダーがあまりない理由
最近のクルマで使われるエンジンを見ると、排気量に対するシリンダー数の減少化、それに伴う軽量コンパクト化がひとつの特徴となっている。いうまでもなく、自動車各部の軽量コンパクト化は、運動性能、動力性能、環境性能すべての面においてプラスに作用するからだ。とくにローエミッション/ゼロエミッション、カーボンニュートラル/ゼロカーボンが社会的に重要視される現代において、自動車のエンジンがもつ意味は、かつてと大きく変わってきている。
さて、シリンダー数の減少だが、これまで市販車(乗用車)で使われてきたシリンダー数を少ない順に並べていくと、単気筒、2気筒、3気筒、4気筒、5気筒、6気筒、8気筒、10気筒、12気筒、16気筒あたりとなり、かつての12気筒車は8気筒を搭載、8気筒は6気筒、6気筒は4気筒、4気筒は3気筒と、シリンダー数は減る傾向にあることに気付かされる。
これらのうち、車両に搭載する上でサイズ的な制約がいちばん生じやすいシリンダーレイアウトが、縦に長く配置される直列方式だ。これまでの例を振り返ると、量産車で限界と思われる直列配置のシリンダー数は6気筒となる。ちなみに、直列6気筒は1次、2次の慣性力、完成偶力のバランスがとれ、振動がほとんどなくスムースな回り方をすることから、究極の振動バランスをもつと定評がある。
8気筒以上、10気筒、12気筒はV型のシリンダーレイアウトとなるが、V8は直列4気筒を2基、V10は直列5気筒を2基、V12は直列6気筒を2基結合したエンジンと考えてよく、回転バランスに優れた直列6気筒を2基つないだV12が、きわめてスムースな回り方になることから、高級車で好んで使われてきた歴史がある。