ただの空気を充填すると「タイヤの空気圧」のシビアな管理は難しい! F1などでは常識の「ドライエア」とは? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タイヤの空気圧は温度と湿度によって大きな影響をうける

■モータースポーツでは湿度の影響を最低限に抑えるためにタイヤにドライエアを充填する

■タイヤの空気圧は最低でも半月に一度はエアチェックすべきだ

湿度はタイヤの空気圧に大きな影響を与える

 この前までTシャツで過ごせたのに、急に上着が必要になり、あっという間に冬が来る……。こうした気温の変化が激しいときは、タイヤの空気圧の点検、調整が重要だ。

 タイヤの空気圧は外気温が20℃変わると、7%変化するといわれている。よりわかりやすい目安としては、気温が10度上がると10kPa(0.1kgf/㎠)ほど上がり、10度下がると10kPa(0.1kgf/㎠)ほど下がると覚えておけばいい。

 そして、気温とともにタイヤの空気圧に大きな影響を与える要素に湿度がある。季節にもよるが、大気には一定の割合で水分が含まれているのはご存じのとおり。この大気をコンプレッサーで圧縮すると、水蒸気もギュッと体積が縮まる。たとえばコンプレッサーで0.8メガパスカルに圧縮された空気は、体積が9分の1になり、大気の約9倍の濃度で含有された状態になる。

 水は液体から気体に変化すると、その体積は1700倍も膨張するので、水分を含んでいる空気は、熱による膨張率が大きくなってしまう!

 タイヤの性能を極限まで引き出すことが求められる、F1などのレースシーンでは、非常にシビアな空気圧管理が求められるため、チームは熱膨張率を計算に入れて、空気圧を最適値に合わせ込むわけだが、このとき水分を含んだ空気をタイヤに入れると、狙った空気圧が維持できない。

 そこでレーシングチームやタイヤメーカーのテスト時には、専用のエアドライヤーを使って強制的に乾燥させた空気=「ドライエア」をタイヤに充填させるようになった。

 エアドライヤーには、熱交換器で圧縮空気を冷やし結露させて除湿する「冷凍式エアドライヤー」と、中空糸膜を用いて圧縮空気から水分を分離除去する「膜式エアドライヤー」、吸着剤に水分を吸着させる「吸着式エアドライヤー」の3種類があるが、もっともメジャーなのは「冷凍式エアドライヤー」。原理としては、エアコンの除湿機能と同じと考えていい。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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