この記事をまとめると
■クロソイド曲線という言葉は高速道路のカーブを設計する上で用いられる曲率のこと
■自然に操作した感覚で走り抜けられるカーブがクロソイド曲線の特徴だ
■日本のみならず世界中のカーブでクロソイド曲線が用いられている
カーブを誰でも自然と走り抜けられるのは計算の上
クロソイド曲線、という言葉を耳にしたことはないだろうか? 高速道路のカーブを設計するにあたって用いられる曲率のことで、コーナー入り口の曲率が大きく、奥に行くにしたがって曲率が小さくなる曲線(道路形状)のことを指す。じつは、このクロソイド曲線で作られたカーブは多く存在するが、走っていて進入時の曲率が大きく、奥で小さくなっていると自覚できる人はほとんどいないだろう。
逆にいえば、カーブの進入時に無意識で操作したステアリングの操舵量や車速コントロールのアクセル開度で、そのまま走り抜けられている。これがクロソイド曲線で作られたカーブの特徴で、もしもカーブを一定の曲率で作った場合、カーブを曲がりながらステアリング操作やアクセル開度の調整が必要になってしまうのだ。
もう少し詳しく説明すると、直線路からカーブに進入。この場合、カーブの曲率に合わせてステアリングを切り(操舵)、アクセル開度も合わせて走ることになるが、この運転操作を維持したまま、まわりきれるカーブの形状が、クロソイド曲線ということである。
このクロソイド曲線によるカーブが初めて用いられたのは、第1次世界大戦後に国家事業として建設されたドイツのアウトバーンである。ヒトラー政権下で作られたアウトバーンは、路面を堅固なコンクリート舗装として非常時に飛行機の滑走路として使うことを可能にしたり、自動車による最高速度の挑戦が可能なテスト路としての許容性能を備えるなど、時代を大きく先取りした自動車専用道として作られていた。
日本の道路では、日本初の高速道路となった名神高速道路で取り入れられたが、この考えをもち込んだのはアウトバーンの建設に従事したドイツ人技術者だった。このクロソイド曲線は、自動車道だけではなく曲率の小さな地下鉄なども用いられているという。