ハイテクなぶん普通の旧車より難しい! NISMOが頑張る「第二世代GT-R」でさえ乗り続けることが難しい時代がきていた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■第2世代GT-Rの一部パーツは復刻され再販されている

■すべてのパーツはカバーできておらず経年劣化による故障も目立っている

■パーツの問題や維持管理の観点からクルマとの向き合い方を考えるフェーズになっている

第2世代GT-Rに乗り続けることは次第に困難になっている

NISMOヘリテージによって長く維持するための体制は強化されたが……

 日本の自動車メーカーが直接リビルト・リフレッシュ事業を手がける数少ない車種が第2世代GT-R(R32/R33/R34型スカイラインGT-R)だ。2017年12月、日産/NISMO/ニスモカーズの協業による純正部品の再供給「NISMOヘリテージ」がその始まりで、2024年現在までに350点以上におよぶ部品が復刻された。さらに、リプレイス品(日産純正部品の図面をもとに限りなく純正に近い状態で再生産したもの)の開発・販売、一部部品の修理などその枠も広がっている。復刻部品以外で今手に入る純正部品についてもNISMOがサプライヤーに継続生産を懇願するなど、長く乗り続けるための環境改善は年々進み、1990年代に製造された同年代他車種と比べるとそのサポート体制はかなり恵まれている。

「じゃあ、これからも第2世代GT-Rに安心して乗り続けることができますね!」と問われたら、「どちらともいえない」と答える。その理由は3つある。

 まずひとつめはヘリテージパーツを含む純正部品のたび重なる高騰。供給が続いていることに感謝はすべきだが、その価格は目玉が飛び出るほど高いものが多い。10年前なら庶民でもなんとか維持できたが、いまではかなりの経済的な余裕が必要だ。そのため、多くのオーナーが保管モードに移行しているのも無理はない。また、リフレッシュ作業をするなら今が一番安上がりだ。

すべての純正部品を復刻することが難しい理由とは

 ふたつめは、すべての部品が補われているわけではない点だ。「だったら、どんどん復刻すればいいじゃないか」といいたくなる気もちもわかるが、現実はそれほど簡単ではない。製造数は現行車として継続生産されていた当時と比べて当然少なくなるし、一度製造廃止された部品を復刻する場合、ひとつでも構成部品が変われば部品番号が新しくなり、その場合は、日産社内基準に基づく試験を受ける必要がある。これにより製造コストが大きく上昇し、やむなく再販を諦めざるを得ないケースもある。

 経年劣化により樹脂のタンクにクラックが入り、ガソリン漏れを起こす個体が増加しているR32GT-Rのガソリンタンクを例に挙げると、復刻するには型を作るだけでなく衝突安全基準のテストを受ける必要があるため、手が届く販売価格に抑えられないのが理由だ。現在は複数のショップが独自に補修して対処しているが、修理依頼が多すぎて追いつかない状況だという。


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