タクシー&バスドライバーはお先にどうぞのパッシングを信用しない! 疑ってかからざるを得ないプロドライバーの世界 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシーやバス運転手は一般人の「ゆずり行為」に対して警戒している

■基本的には譲られても応じないよう教育を受ける

■タクシーやバスは金目当ての当たり屋などに目をつけられやすかった

パッシングでの意思疎通は無視が基本

 右折車線のない交差点で右折しようと思っていたのに、対向車が多かったりして青信号に間に合わずに右折できず、しかも信号待ちの先頭となると、後続車両が長い列となってしまうのではないかと、ヒヤヒヤな思いになる人も多いことだろう。そんなときに対向車線で信号待ちしている先頭車両が進行する信号が青になった瞬間、パッシングライトを送ってきた。このようなシチュエーションでは、対向車両が右折待ちで後続車両が列を作らないようにとの配慮もあり、「先に曲がっていいよ」との合図と認識するのが一般的であろう。

 しかし、右折車線のあるなし、そして信号がなくとも右折して商業施設などに入ろうとする際、対向車線が渋滞しているときなど、「右折していいよ」とパッシングライトを対向車がやってくることがある。もちろんそのような行為の大半は善意から合図をしているのだが、日々街なかを流すタクシー運転士の新人研修ではこのような「ゆずりあい」にも警戒するようにと指導すると聞いたことがある。

 職業ドライバーに限ったことではないのだが、ドライバーのなかには渋滞で退屈したときなど、四輪車の渋滞の列をすり抜けてくる二輪車の接近を確認してタイミングを合わせて譲り、右折のときに二輪車に衝突させようという悪質な人もいるとのことである。路線バスについては、事業者にもよるようなのだが、筆者が利用しているバス事業者の運転士さんは対向車などから譲られたとしても反応しない運転をしていた。

 前出の指導では、譲られたからといって無警戒に右折などをするのではなく、とくにトラックなど大型車の場合はすり抜けてくる二輪車の目視も難しいので、最徐行といった低速で右折をはじめ、すり抜ける二輪車がいるという前提で注意深く運転をするようにと教えていたそうだ。つまり残念な話だが、100%善意ではないという前提で対応するようにということなのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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