【試乗】燃費さえよければ……のスバルからついにストロングHVが登場! クロストレックS:HEVは燃費も走りの上質さも爆上がり!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

クロストレック・ストロングHVが登場

スバルがストロングHVを採用するのは今回が初めて

■クローズドコースで試乗する機会を得た

トランスミッションを廃して高出力モーターを採用

 スバル車は全体をとおして水平対向エンジンを縦置きマウントし、シンメトリーレイアウトとして優れた重量バランスを実現。低重心であることと合わせ、優れたハンドリングを引き出すことで世界中で多くのスバリスト(スバルファン)に支えられてきた。

 スポーツグレードからSUVまで、一貫してAWDの駆動方式を採用(BRZはFR、インプレッサなどFFモデルも設定されているが)。悪路に強いクルマとして頼もしく、また近年はアイサイトによる安全運転アシスト機能の搭載でより幅広いユーザーから支持を獲得してきている。

 そんな魅力に溢れたスバル車が、唯一遅れていたポイントが燃費性能を基準とした環境性能だ。e-BOXERと呼ばれるマイルドHV(ハイブリッド)車も設定されてはいるが、他社のHVやPHEV車に比べ、優位な燃費性能を獲得するには至っていなかった。スバル車の高性能グレードは燃料をハイオク仕様とするなど走行距離を多く走るユーザーが多い割には燃費、燃料費については黙認されてきた。しかし、それもそろそろ我慢の限界に近づいてきていたのだろう。

 今回、スバルが満を持して登場させたのが「ストロングハイブリッド(HV)」搭載のクロストレック・ストロングHVだ。

 HVシステムは発電用のジェネレーターモーターと駆動モーターを個別に搭載する2モーターのトヨタTHS2システムを採用。水平対向4気筒2.5リッターエンジンと、縦置きにモーターを従来のトランスミッション位置に連結して搭載し、シンメトリーレイアウトを継承している。さらにリヤアクスルにプロペラシャフトを伸ばし、機械的に作動させるAWD方式としている。

 システムレイアウト的には従来のe-BOXERと大きく変わりはないが、トランスミッションを廃して88kW(119.6馬力)の高出力モーターを採用したことが大きな進化だといえる。

 この結果、発進時はつねにモーターが駆動力を発揮し、エンジンはバッテリー電力が減少するまで稼働しない。またエンジンが始動しても低速実用域ではモーター中心の駆動力制御が行われるので270Nmの大トルクを自在に操れるのだ。

 搭載されるHVバッテリーは1.1kWhのリチウムイオン電池で、容量は大きくないのでEVレンジで走れる距離は短いが、それでもつねに駆動を担う役割をもたせることでBEVのような優れたドライバビリティを与えることが可能となる。エンジンが駆動を担うのは高速道路の巡航時など、エンジンの一番効率がいい領域に限られ、トヨタ方式の動力分割機構がシリーズ/パラレルHVを可能としているわけだ。このシステムにより燃費は従来のe-BOXERより2割程度向上しているという。

 今回はこのクロストレック・ストロングHVを、冬季はスキー場となる場所にクローズドコースを設定し試乗することができた。

 外観的な意匠の違いは少なく、エンブレムなど小さな点に限られる。クロストレックのスタイリッシュな外観はそのままに、パワートレインインを大幅にリニューアルさせたところにスバルの実直さを感じるのだ。

 運転席に乗り込むと、ブラックのルーフライナーがスポーティで、全体的に質感が高められている印象だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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