じつはEV専業メーカーじゃない! 中国のBYDと韓国のヒョンデが「日本はEVのみ」で勝負をかけるワケ

この記事をまとめると

BYDとヒョンデは日本市場ではそれぞれBEVモデルに特化した商品展開をしている

■日本市場で生き残るために「尖ったかたちのマーケティング」が必要だった

■「新しいライフスタイルのひとつ」として両ブランドの今後の成長が期待されている

BYDもヒョンデも「あえて」BEVのみの販売にしていた!

 EV界の黒船に、戦々恐々としていた日本の自動車業界。また、多くのユーザーとしても、いったいどんなクルマで、そのパフォーマンスはどのレベルなのかと興味津々だった。

 そう、中国BYDと韓国ヒョンデのEVのことである。

 時系列でみれば、まずヒョンデが先に日本上陸を果たした。実際には、再上陸となるのだが、今回はEVおよび燃料電池車のみを発売し、しかもオンライン専用で販売という日本自動車史上初となる大胆な試みが話題となった。

 こうした無店舗販売について、一部ユーザーからは不安の声もあったが、これまでのところ、実車に触れることができる場や全国各地でのカスタマーサポート体制がしっかりと整ってきたことで、徐々にだが販売数を増やしている状況だ。

 一方、BYDについては、横浜市内でのセールスプロモーションを皮切りに、3モデルを次々に市場導入。直近では、有名女優を採用したテレビCMや、全国各地での試乗キャンペーンを繰り広げるなどして日本国内でのブランド認知度を高めている。

 この2社の共通点は、日本市場ではEVに特化していることだ。

 ユーザーのなかには、ヒョンデとBYDが、アメリカのテスラのようなEV専門メーカーだと思っている人がいるかもしれない。だが、ヒョンデもBYDも、ハイブリッド車を含む多様なパワートレイン搭載車をグローバルで販売している総合自動車メーカーというのが実態だ。

 その上で、なぜ両社が日本ではEVに特化しているのか。最大の理由は、「ブランドとして尖ること」だ。

 周知のとおり、日本市場では軽自動車から超高級車までのブランドが存在している。しかも、日本のユーザーは自動車に限らず、モノを見る目が厳しい。そうしたなかで、海外ブランドメーカーが日本参入をするとなると、時代の潮流を見据えた「尖ったかたちのマーケティング」が必要になるのは当然だといえよう。

 ヒョンデの日本代表は「世界屈指の競争環境が厳しい日本で、我々として学ぶことがとても多い」と本音を漏らしている。だからこそ、日本でブランド価値を創出することが、ほかの国や地域での自社ブランド構築に向けた弾みになるというのだ。

 実際のところ、ヒョンデもBYDも日本では、ユーザーが当初イメージしていた韓国車や中国車の商品イメージとは違い、「新しいライフスタイルのひとつ」として両ブランドを捉えるようになった印象がある。

 2社は今後、日本市場でどこまで成長するのか。その動向をこれからもしっかりと見守っていきたい。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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