この記事をまとめると
■フォードは1970年代から「スーパーバン」を製作してプロモーションを行っている
■最新作「スーパーバン4.2」では商用バンのカーゴスペースが空力的付加物となっている
■スーパーバン4.2はパイクスピークのオープンクラス1位・総合2位という結果を残した
GT40のコンポーネンツを移植した商用バンから始まった
日本ではさほど知られていませんが、英国フォードは商用バンの「トランジット」を用いたプロモーションを1970年代から続けてきました。といっても普通の宣伝ではなく、いかにも英国らしい魔改造を施すというのが笑えます。スーパーバンと名付けられたトランジットは、かのGT40のコンポーネンツを流用することから始まって、グループCカーのシャシー&コスワースエンジンをブチ込むなどやりたい放題(笑)。
そんなスーパーバンを、EV世代を迎えた2022年、再び英国フォードはノリノリでカスタマイジング。スーパーバン4エレクトリックと名付けられ、こともあろうにグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに殴り込み(笑)。そして、翌年には早くもエボリューションモデルのスーパーバン4.2が登場というじつに面白い展開を見せてくれたのです。
スーパーバン4、および4.2のベースとなったのは、いずれもフォード・プロ・エレクトリック・トランジットとされていますが、正直なところ「どこがやねん!」と突っ込みたいほど似ても似つかないもの。この魔改造に比べたら、昨今のGTレースやはたまた大昔のシルエットフォーミュラのほうが良心的。あるいは、1995年にルノーが作ったF1エンジンをミッドシップするエスパスだってボディスタイルは踏襲。いかにフォードが必死こいてるかがよくわかります。
だいたい、バンのスタイルを決定づけるリヤのカーゴスペースがものの見事にダイエットされ、空力的付加物に成り下がっています(笑)。もっとも、スーパーバン4ではオリジナルのボディラインに沿ったリヤウイングとされていましたが、4.2では巨大なダブルウイングへと成長。あたかも天守閣にある金のシャチホコかってくらい主張も強め。
それもそのはずで、4.2はパイクスピークのヒルクライム制覇を目指したモディファイとされており、リヤウイングだけでなくフロントリップにはスプリッター、サイドにはこれまたボトムウイングとエアロダイナミクスは全部載せといった様相です。