新型GRヤリスの実力はホンモノ! 全日本ジムカーナで連続2位を獲得したマシンの進化っぷり

この記事をまとめると

■全日本ジムカーナ選手権第8戦・第9戦にマイナーチェンジした新型GRヤリスが登場

■旧型GRヤリスと新型GRヤリスはほぼパーツのキャリーオーバーが可能

■今後もジムカーナに挑む新型GRヤリスの動向に注目

新型GRヤリスが早くも全日本ジムカーナに見参

 ジムカーナ競技の最高峰シリーズ、全日本ジムカーナ選手権の第8戦および第9戦が8月16〜18日、スポーツランドSUGOの国際西コースで開催。シーズン2度目のダブルヘッダー戦として、土曜日、日曜日ともに各クラスで激しいタイム争いが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めたマシンが、新型GRヤリスだといえるだろう。

 ご存じのとおり、トヨタの4WDターボモデルのGRヤリスは、今年4月に事実上のマイナーチェンジともいえる進化バージョンが発売されているが、その新型モデルが早くも全日本ジムカーナに登場している。ベテランドライバーの津川信次選手が7月20日、イオックスアローザで開催された第7戦に新型GRヤリスを投入しており、PN4クラスで2位に入賞。そして、津川選手は約3週間のインターバルでマシンの熟成を行い、新型GRヤリスをSUGOのダブルヘッダーに投入したのである。

 昨年までGRヤリスの改造モデルを武器にBC3クラスで活躍したほか、今季は改造範囲の狭いGRヤリスでPN4クラスを戦ってきた津川選手は、まさにGRヤリスを知り尽くしたスペシャリストといえる。

 さらに、PN4クラスは前述のとおり改造範囲が狭く、タイヤ&ホイール、ダンパーおよびスプリング、LSD、ブレーキキャリパー&ローター&パッド、ファイナルギヤ以外はノーマルの状態でとなっていることから、もっとも市販モデルに近いクラスとなっている。

 津川選手は気になる新型モデルについて、「エンジンのレスポンスがよくなったことで乗りやすくなりました。あとはボディの剛性も高くなっていて、ロールバーを入れなくても、高速コーナーでの初期レスポンスがよくなっています。リヤまわりがしっかりしているので、アンダーステアは減ると思いますよ」とインプレッション。

 その一方で、「新型モデルなのでセッティングに苦労しました。ボディ剛性が高いので最初は足まわりを柔らかめにしたんだけど、いろいろと試した結果、いままでのGRヤリスと同じセッティングになりました」とのことだ。ちなみに津川選手のGRヤリスは、オーリンズのダンパーにアドヴィックスのブレーキシステムを採用。シートはブリッド、LSDはクスコを採用している。

 津川選手によれば、旧型GRヤリスと新型GRヤリスはほぼパーツのキャリーオーバーが可能で、「ピロアッパーマウントが変わっていますが、それ以外は使用できます。ピロアッパーが3点タイプになっているので、キャンバーの調整もナックルだけでなく、ピロアッパーでも調整できるので、アライメントの幅が広がりました。あとはショックの全長が25mm短くなっていることもポイントです。私が使っているオーリンズは調整の範囲内で対応できました」と語る。

「デビュー戦のイオックスからSUGOまでの間にいろいろと仕様変更を行いました。なんとかSUGOで初優勝したいですね」と語る津川選手だったが、残念ながら17日の第8戦で2位に惜敗したほか、18日の第9戦でも2位だった。

 とはいえ、「まだ試しきれていない部分もあるので、最終戦までに煮詰めていきたい。まだ進化の途中で、伸び代もあることから、もっとよくなると思います」と語っているだけに、今後もジムカーナに挑む新型GRヤリスの動向に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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