強めの減速はブレーキランプの点灯で後続に「伝える」ことが重要
高速道路がスムースに流れているときは、原則としてブレーキを踏む機会はほとんどない。ただ、ゆっくり走っているクルマに追いついてしまった場合は、どうするか。
①追い越し車線に出て、前走車を追い抜く。
②減速する。
追い越し車線もつかえているような場合は、②の「減速する」しか選択肢がないわけだが、この減速の仕方が非常に重要。前走車との速度差が大きくない場合は、アクセルをスーッと戻して、軽いエンジンブレーキでスピードコントロールするのがベスト。
車間距離を適性に確保して、前走車の動きをよく見ていれば、ブレーキを踏まなくてもアクセルワークだけで速度調整は間に合うはず。問題は、アクセルオフだけでは減速が足りないようなシチュエーション。こうした場合、昔ながらのAT車なら黙ってブレーキを踏んで減速。MT車ならブレーキ、あるいはブレーキと併用してシフトダウンという流れ。
ところが、パドルシフトやシーケンシャルタイプのシフターがついたAT車やDCT車のなかには、パドルもしくはレバー操作だけで、ポンポンとシフトダウンして、ブレーキランプを点灯させずに、一気に減速させるクルマがいる! はっきり言って、これは危険&迷惑。
大きく減速するとき、具体的に何Gとか数値化しても無意味だろうが、少なくともアクセルオフだけでは足りずに、シフトダウンも伴うような強いエンジンブレーキをかける際は、必ずフットブレーキも併用してブレーキランプを点灯し、後続車にも注意を促すこと。とくに、渋滞の最後尾に追いついた際は、シフトダウン+ブレーキ+ハザードの三点セットで対処しよう。
同様に、落下物、事故などを発見した場合は、躊躇せずにしっかりフットブレーキで減速すること。この場合、より短時間に大きく減速する必要があると同時に、後続車にも減速が必要なことを知らせるために、ブレーキランプで知らせる必要があるからだ。
なんといっても、高速道路における負傷事故の61%は追突事故。そうした発生頻度の高い追突事故をひとつでも減らすためにも、減速中であることを、後続車に知らせるブレーキランプの点灯は、世間のドライバーが思っているより、ずっと重要な意味があるということを、ぜひとも覚えておいてほしい。
反対に、渋滞していない高速道路でも割と頻繁にブレーキを踏んでいる人も頻繁に見かけるが、これはこれで渋滞の原因にもなる。車間距離を適切に確保していれば、アクセルオフだけで車間調整ができることも多いので、減速幅が小さいときはアクセルコントロールでの減速。減速幅が大きいときは、シフトダウンの有無にかかわらずブレーキペダルを踏むことを、ひとつの原則・セオリーにしておきたい。