この記事をまとめると
■マイナンバーカードと運転免許証の一体化が話題になっている
■海外でクルマを運転するには運転免許証と国際運転免許証をセットでもっている必要がある
■マイナンバーカードと運転免許証が一体化されてもいまのところは既存の免許証をもち続けることができるようだ
健康保険証の次は運転免許証?
2024年12月2日以降は紙ベースなどの「健康保険証」は廃止され、マイナンバーカードに健康保険証として利用登録した「マイナ保険証」に一本化される。そもそも、マイナンバーカードの発行については義務ではないはずなのに、この措置で事実上マイナンバーカードの保有は「義務化」されることになる。
そしていま、話題となっているのがマイナンバーカードと運転免許証の一体化である。ただし、健康保険証を廃止しマイナ保険証へ一本化するような動きには現状ではならないようである。①いままでの免許証だけ、②一体化していままでの免許証を破棄する、③マイナンバーカードへの登録を行いかつ免許証も持ち続ける、という3つの選択が可能となっているようだ(現政権は方針がコロコロ変わるので、結果的にマイナ免許証に一本化されるかも?)。
筆者は当初、マイナンバーカードに運転免許証も一本化されると思っていたので、ある疑問が沸いた。それは、旅行者など短期滞在者として海外でクルマを運転するときである。ジュネーヴ条約締結国で運転する際には、一般的に「国際運転免許証」というものを、各都道府県の運転免許センターなどで発行してもらい渡航先にもっていくことになる。ただし、これ単体ではなく日本で発行された、運転免許証をもっていなければならない。
ご存じのとおり日本の運転免許証は漢字だらけ。渡航先で警察官などに免許証の提示を求められても、当該地域の警察官はわけがわからず確認できない。
そこで、日本の免許証の翻訳版として国際運転免許証の出番となるのである。アメリカの大手レンタカー会社では、自社の翻訳フォームへ免許証情報を入力しておくと、日本の運転免許証があれば国際運転免許証の携行は必要ないとのことである。
調べてみると、確かに国際運転免許証を携行していなくても、日本の運転免許証だけでクルマを運転できる国や地域はあるようだ。ただし、無用のトラブルを避ける意味でも国際運転免許証はもっていたほうがいいようである。
話を戻すと、仮にマイナンバーカードへの情報登録のみ、つまりマイナ免許証のみとなれば、海外にマイナンバーカードをスキャンして情報を取り出す機器があるとは思えない。つまり、場合によっては日本の免許証の携行有無が確認できないということで、レンタカーを借りることができないなど不具合が頻発するのではないかと心配してしまった。
しかし、いまのところは、既存の免許証をもち続けることができるといった選択肢が用意されているようなので安心している。一部の国では免許証をなくしスマホに表示するタイプを導入している国もある。マイナンバーカードへのデータ登録と同時に、免許証の内容を多言語表示することができる機能を付加すれば、政府の交渉次第(公費でのスキャン機器の設置など)では国際運転免許証が不要になるかもしれない(免許センターにとっては発行手数料収入が減るので実現性はさまざまな意味で難しそうだが)。
個人的には、なんでもかんでもマイナンバーカードへ登録というのは、情報管理体制なども考えるとリスクが高く賛成できない。免許証のデジタル化を進めたいのならば、あくまで運転免許証として独立した形でスマホ表示(多言語表示可能)できるようにしてもらったほうがいいとも個人的には考えている(更新もデータの書き換えだけで済めば更新手数料も安くなるかも?)。