クルマの走りのよさを損なうことなく機能
「氷に効く・雪に効く・永く効く」と軽やかに謳うアイスガード 7。
だがスタッドレスタイヤの氷上性能と雪上性能はいわばトレードオフの関係にあり、揃って向上させるのは難しい。
氷上性能を高めるためには接地性を上げなければならず、溝の面積が減る……雪上性能を高めるためには排雪性を上げなければならず、溝の面積が増える……といった調子なのだ。
そんななか果敢に二兎を追ったのが、このアイスガード 7である。
このタイヤの性能を、決して雪道での運転に慣れているとはいえない私でも享受することはできるのだろうか? ロングドライブで試してみることにした。
今回はホンダのSUV、ZR-Vにアイスガード 7を装着して東京都から青森県を目指す。
まずはドライ路を走行。
東北道に乗り制限速度に達するまでアクセルを踏んでみると、安定感ある走りをみせる。
以前サマータイヤを履いたホンダZR-Vに乗った際、SUVらしからぬスポーティな走りに驚いた。
クルマの素性のよさがタイヤによって損なわれていない。これはかなり嬉しいポイントだ。
スタッドレスタイヤのデメリットには柔らかさゆえのフニャフニャとした乗り味やノイズの大きさが挙げられるが、アイスガード 7はいずれも気にならなかった。大げさではなく、スタッドレスタイヤといわれなければ気づかないレベルだ。
高速道路を降り、十和田湖を目指して進むといよいよ景色が白く染まり始めた。
本格的な雪道での走行は4年ぶり3回目である。予想よりも早い段階で圧雪路に遭遇し、少し緊張。だが走ってみるとどうだろう。「思ったより普段と変わらない」というのが第一印象だ。
雪道に慣れていない私のような人間からすると、運転感覚が変わるのが一番怖い。
例えるならば寒さで手が悴んでスマホが思うように操作できない時のような、普段よりも鈍った感覚で走ることになるのだろうと構えて雪道に踏み込んだのだが、見事に肩透かしを食らった。
もちろんまったく同じではないが、思ったよりも舵は利くし、路面の状況もわかる。狭い道も通ってみたが回頭性もよく、不安がなかった。
十和田湖には壮大でどこか寂寥間が漂い、冬本来の魅力を教えてくれるような景色が広がっていた。ここまで連れてきてくれたアイスガード 7に感謝したい。
タイヤへの信頼が高まったこともあり、奥入瀬渓流にも足を伸ばした。美しい景色と静かな空間に響く滝の音に癒されながら散策していると深い雪に足がはまり、スノーブーツを持参しなかったことを後悔。クルマに履かせる靴は正解だったが、自分の靴については考えが浅かったようだ。