この記事をまとめると
■初代シャレードはダイハツ初の前輪駆動モデルとして登場した
■世界初の3気筒エンジンを量産車に搭載したモデルだった
■3ドアハッチバックモデルにはマリンウインドウと名付けられた特徴的な丸窓が採用された
ダイハツの一時代を築いた看板車種
いまでこそコンパクトカーのエンジンとして主流となっている直列3気筒。そんな3気筒エンジンのよさを世界に再認識させた功労者こそが、1977年10月にダイハツがリリースした初代シャレードだった。
それまではトヨタ・パブリカのOEMモデルであるコンソルテを普通車のエントリーモデルとして販売していたダイハツだったが、シャレードはダイハツの自社設計で生まれたもので、ダイハツ初の前輪駆動モデルでもあった。
軽自動車からのステップアップユーザーを受け入れるモデルということもあり、ボディサイズは当時の軽自動車よりもわずかに大きいサイズに収めており、その路面投影面積の小ささから「5平米カー」というキャッチコピーが用いられていたことでも知られている。
そんなシャレードのトピックである心臓部には、1リッターの排気量を持つ、4ストロークの直列3気筒エンジンが搭載されていた。いまでこそ当たり前のように多くのコンパクトカーに搭載されている4ストローク3気筒エンジンだが、当時はエンジンの振動が大きく発生するというデメリットが知られており、量産車として搭載したのはシャレードが世界初だった。
もちろんダイハツも振動が大きいことは承知しており、シャレードのエンジンにはバランスシャフトをクランクシャフトと並行に配置することで振動を低減し、ほかの気筒レイアウトと遜色ない静粛性を実現していた。
また、当時はコンパクトカーが1.2~1.4リッターへとクラスアップしていたなかで空白地帯となった1リッタークラスに投入されたことが、オイルショックの影響で省エネムードと重なって評価され、「リッターカー」復権にもひと役買ったのである。
そしてデビュー翌年の1978年9月には、実用的な5ドアハッチバックに対してクーペと名付けられた3ドアハッチバックモデルを追加。このモデルには、太いCピラーの部分にマリンウインドウと名付けられた丸窓を用いたことが特徴で、このマリンウインドウはのちにバニング系の車両にポト窓を装着する際に多く流用されたことでも知られている。
なお余談ではあるが、2代目シャレードには同じく3気筒の1リッターディーゼルエンジンも用意されたが、こちらはバランスシャフトを用いてもなお振動が発生していたため、それを逆手にとった「Rock’n ディーゼル」というキャッチコピーで販売したのは大阪商人らしさを感じさせるエピソードといえるだろう。