この記事をまとめると
■支柱と支柱の間を板で繋いだ構造となる橋はクルマが通過するとその重さでたわみが生じ揺れとなる
■地震国である日本の橋は耐震強化策が実施され、さらに免振や制振構造を取り入れている
■自動車先進国では道路の老朽化が進み保全に大きな予算を割かなくてはならない状況になっている
揺れることで衝撃を吸収する免震・制震構造を採用した橋もある
渋滞などの理由で、やむを得ず橋梁部分で停車した際、クルマが揺れるのを経験したことがあるのではないか。想像以上の揺れに、不安な気もちになったのは筆者だけではないだろう。橋の下の川や谷底へ落ちはしないか、そんな不安も頭をよぎる。
橋は、支柱に支えられ、その支柱と支柱の間は板状の橋だけの構造なので、通過するクルマの重さが加わると、たわみが生じるのは当然だ。クルマの通行が連続すると、揺れを生じさせる。
地震国の日本は、高速道路を含め舗装路に継ぎ目が多い。継ぎ目の隙間で、路面の動きを吸収するなど、衝撃を緩和させる効果がある。鉄道の線路も、気温差によって伸び縮みするので、線路のつなぎ目には隙間が設けられ、そこを車両が通過するとゴトゴトと揺れ、音が出る。道路の継ぎ目も似たようなことから、クルマが継ぎ目を通過すると振動が起こる。ことに車両重量の重い大型車は、その振動が大きく出るはずだ。
道路が宙に浮くことになる橋梁部では、振動として体感しやすくなる。それでも、支柱の劣化などなければ、橋が落ちる心配はない。しかし、大地震が起きれば、話は別だ。
阪神淡路大震災のあと、道路の橋梁部分の耐震強化策が実施された。より揺れに強い支柱へ補強したのだ。
それとは別に、免振や制振構造を採り入れている事例がある。長周期振動により、水平方向に橋がゆすられた場合に橋を守る工法だ。
一般的に橋の道路は、固定支承や稼働支承といわれる硬い構造で支柱に接している。これだと長周期によって波長の長い距離を橋が移動しようとすると、接点に力が集中し、橋そのものが支柱から外れる懸念がある。そこで、橋と支柱の接点に、免振支承とよばれ、横移動をある程度許す材料が使われる。これが免振だ。さらに、これに減衰装置(ダンパー)を追加するのが制振である。水平方向の横移動を許しながら、移動し過ぎないようにダンパーで制振するというわけだ。
高層の建物も、耐震から免振や制振へ移行することで、揺れを許しながら、倒壊を防ぐ手法が広がっている。道路も、大規模地震を経験しながら、より安全な構造へ進歩している。
一方で、老朽化への対処の遅れもあり、自動車先進国といわれる国々は、諸外国を含め、道路の保全に大きな予算を割かなくてはならない状況になってきている。