この記事をまとめると
■事故を起こしたドライバーではなくクルマを貸した所有者が逮捕される事案が発生した
■オーナーが点検や整備などを怠っていると損害賠償責任が発生するケースがある
■日常から運転する前に必ず点検や整備を実施して安全を確認することが大切だ
ドライバーではなくオーナーを逮捕!?
2023年11月、札幌市で走行中のクルマのタイヤが外れて女の子に直撃し、女の子が重体になるという悲惨な事故が発生しました。そしてこの事故から半年以上が経過した2024年6月20日、このクルマの所有者も逮捕されました。今回はクルマを運転していた人だけでなく所有者も逮捕された理由を解説します。
札幌で発生した悲惨な事故
2023年11月14日、札幌市西区で軽乗用車のタイヤが外れて女の子に直撃し、女の子が重体になるという事故が発生しました。この事故から半年以上が経過した2024年6月20日、軽乗用車の所有者も逮捕されました。
なぜ、運転者だけでなく所有者までもが逮捕される事態になったのでしょうか。
クルマを貸した人の責任
自動車損害賠償保障法第3条には次のような条文があります。
【自動車損害賠償責任】
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。
ただし、自己および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。
(自動車損害賠償保障法より一部抜粋)
つまり、運転者が注意を怠らず、自動車の構造上の欠陥や機能の障害がなく、第三者の過失などがあった場合は、運転者の責任ではないこととなりますが、それ以外の場合は運転者だけでなく所有者も損害賠償責任(無過失責任)を負わなければならないということです。
札幌市で発生した事故では、改造された車両、かつ点検や整備を怠っていた状態で知人に運転を依頼したことがわかっています。そのため、運転者だけでなく、所有者も責任を負うことになり、両者が逮捕されたと考えられます。
また、札幌市で発生した事故では、運転者が運転中にハンドルのブレを感じ、クルマに違和感があったと話していることから、自動車の構造上の欠陥や機能の障害があった可能性が高いです。このようなことも含め、運転者と所有者の両方に責任があるとして、運転者と所有者が逮捕されることになったと考えられます。